出版社内容情報
近代数寄屋の名建築,熱海・惜櫟荘が,新しい「番人」の手で見事に蘇るまでの解体・修復過程を綴る.文庫版新稿「芳名録余滴」を収載.
内容説明
岩波茂雄が熱海に建てた近代数寄屋の名建築、惜櫟荘。縁あってその「番人」となった著者は、これを後世に残すべく完全修復を志す。作業が進むにつれその趣向に満ちた創造性が明らかに。解体・復元過程を興味深いエピソードを交えて綴る著者初のエッセイ。2014年「日本建築学会文化賞」受賞。現代文庫版には新たに「惜櫟荘だより番外編 芳名録余滴」を収める。
目次
文豪お手植えの…
仕事場探し
鮑と文庫
ティオ・玲二
五十八の原図
惜櫟荘解体
作家と教師
逗子のライオン
四寸の秘密
詩人と彫刻家〔ほか〕
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年福岡県生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業、1971‐74年、スペイン在住。帰国後、闘牛をテーマとするノンフィクション作家・写真家として活躍ののち、99年より時代小説に転じる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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TakaUP48
37
時代小説文庫書き下ろしの先駆者となった筆者は、熱海で年中無休の量産体制に入った。その家から見下ろす場所に気になる別荘があった。岩波書店創業者・岩波茂雄が熱海に建てた建築家・吉田五十八による近代数寄屋の名建築惜櫟荘だった。それを修復し惜櫟荘の番人となるまでの作業過程や関連項目、私事がつらつらと書き並べられた佐伯だより。カメラマンとして活躍中のスペインでの堀田善衛夫妻、俳優・愛書家で有名だった児玉清、映画監督アンジェイ・ワイダの惜櫟荘の絵画などの話の他、筆者の前立腺癌の手術や愛犬との別離など印象に残った。2021/04/19
rokoroko
16
兄が熱海の土砂崩れのテレビみて「せきれきそうは大丈夫か?」と言うので初めて知った。岩波書店の別邸だったのを佐伯氏が買い修復してる。書籍の売り上げでできた建築。因縁めいて面白い。本書は佐伯氏の執筆ぶりなど良く知ることできて嬉しい。そうかあれだけの本は書下ろしだったのか!面白かった2021/07/10
Ryoichi Ito
8
著者の言葉を借りるなら,岩波茂雄が岩波文庫で稼いだ金で熱海に建てた別荘を,文庫本シリーズ「居眠り磐音」で稼いだ金で修復。修復の過程が主題だが,写真家だった著者が文庫本描き下ろし作家になるくだりやスペイン滞在時代につきあった堀田善衛,永川玲二,田村隆一らとの交流の記述が面白い。そして「佐伯さん,作家は読者に支持されてなんぼの存在です」と俳優児玉清に励まされた話も。 この家は文化財として一般に公開してほしい。2019/01/16
インテリ金ちゃん
2
惜櫟荘の話は半分。まあ、スペインでの交友録も楽しめたからいいか...2016/03/20
葛
1
著者:佐伯泰英 2016年1月15日第1刷発行 発行者:岡本厚 発行所:株式会社岩波書店 印刷:精興社 製本:中永製本 雑誌「図書」に連載 岩波茂雄 定価:本体920円+税2023/10/09
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- DISCOVER DOBOKU 土木が…