出版社内容情報
著者は,荷風がその生涯に残した約八〇〇余句の俳句を,荷風の人と文学を知る最大の鍵とする.荷風の随筆・小説・日記中の俳句を取上げて,江戸俳諧の伝統を踏まえた荷風俳句を本格的に鑑賞するそして荷風と関わり,荷風俳句を取上げた同時代の諸家の貴重な論評を紹介しつつ,さらに著者独自の知見が述べられる.俳人としての荷風を論じたのは,本書が初めてである.岩波現代文庫オリジナル版
内容説明
荷風作品の中で、特に俳味に富んだ『冬の蝿』『〓(ぼく)東綺譚』『雨瀟瀟』『断腸亭日乗』を中心に取り上げて、集中の荷風俳句を江戸俳諧の伝統を踏まえて評釈する。さらに、荷風が心許した市井の風流子(籾山梓月、相磯凌霜、邦枝完二、森銑三…)との交遊と彼ら粋人の遺した荷風評を通して、荷風俳句の放つ「特有なる隠遁の風致」を味読する。初めての本格的な俳人荷風の提示であり、「市隠荷風の手すさび」を読み直すことで、荷風小説また随筆を格別に味わいゆたかにする初めての荷風論である。
目次
1 『冬の蝿』と俳味
2 『〓(ぼく)東綺譚』をめぐりて
3 『雨瀟瀟』と薗八節
4 『断腸亭日乗』の俳事
5 日夏耿之介―荷風を偏愛した詩人俳諧師
6 秋庭太郎―荷風の系譜を探った考証家
7 相磯凌霜―俳諧通を通した側近
8 正岡容―荷風を記録した寄席文学者
9 邦枝完二―荷風を師承した門人作家
10 籾山梓月―荷風が兄事した俳人
著者等紹介
加藤郁乎[カトウイクヤ]
1929‐2012年。詩人、俳人、江戸俳諧考証家。号は郁山人、四雨。東京都生。早稲田大学文学部演劇科卒。俳誌「黎明」を主宰。「俳句評論」「縄」「ユニコーン」などの前衛俳句誌に参加。詩作は吉田一穂に師事する。句集に『形而情学』(室生犀星詩人賞受賞)『初昔』(日本文芸大賞受賞)、俳諧考証に『市井風流』(山本健吉文学賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はるたろうQQ