出版社内容情報
荷風に傾倒した奥野信太郎は、荷風についての多くの優れた随想・評論を残している。中国文学者である奥野は、様々な見地から自由闊達に「最後の文人」荷風を語る一方で、荷風文学解読の鍵として、荷風に与えた中国文学の深い影響を強調する。奥野の「荷風論」を、初めて集成して1冊にまとめる。荷風愛読者の待望の一冊。
内容説明
荷風に傾倒した奥野信太郎は、荷風についての多くの優れた随想・評論を残している。中国文学者である奥野は、様々な見地から自由闊達に「最後の文人」荷風を語る一方で、特に荷風文学解読の鍵として、荷風に与えた中国文学の深い影響を強調する。奥野の「荷風論」を、初めて集成して一冊にまとめる。荷風愛読者への待望の一冊。
目次
荷風文学鑑賞
荷風の当代観察記
「珊瑚集抄」解説
「花火」「二人妻」解説
反俗を貫く最後の文人
よき教授永井荷風
荷風と私家版
永井荷風における好色趣味
永井壮吉教授
荷風文学の女性像
荷風と中国文学
荷風追憶
永井教授の俸給
荷風と金銭
対談 永井荷風の人と作品
著者等紹介
奥野信太郎[オクノシンタロウ]
1899‐1968年。東京生。中国文学者、随筆家。慶応義塾大学教授。1925年、慶応義塾大学文学部卒。中国文学研究のかたわら、多くの軽妙洒脱な随筆を残した名エッセイストとして知られた
近藤信行[コンドウノブユキ]
1931年、東京生。文芸評論家。山梨県立文学館館長。早稲田大学大学院仏文科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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moonanddai
7
中国文学者であり永井荷風心酔者の荷風雑感。荷風の作品のみならず人となり(例えば金銭感覚や遊びの精神など)が知れて楽しかった。中に濹東奇譚の文章の引用があり、「小説をつくる時…最も興を催すのは…生活及び事件が開展する場所の選択とその描写とである」としている。これは浮世絵の世界にも通ずるものとされているが、私も荷風の作品に惹かれるのはこの「江戸」やかつての「東京」の「雰囲気」を感じるところではないかな、と思ったりします。ミステリでもそうですが、ロジックも大切だがこの「雰囲気」というものが大切だと考えています。2020/09/23
iwasabi47
1
再読。作品概説など。小島政次朗の評価と同じ、荷風の臆病さとそれに伴う防御の姿勢。しかしながら、好意的読みする。漢文学との関係や荷風との邂逅エピソードなど。実際に会った時の好悪がやはり評価の軸になるよな。2024/05/30