内容説明
日本各地の遺跡から出土した石笛や琴、『枕草子』や『源氏物語』、芭蕉の句などに表現された日本の音に作曲家ならではの分析が展開される。さらに民俗芸能・社寺芸能の綿密な調査に基づいて作曲された氏独自の合唱作品『シアター・ピース』が産みだされる過程が克明に述べられる。本書は作曲に向けてのフィールドワークの記録であり、自己解説の書である。
目次
日本の音を聴く(「こをろ」と「もゆら」;縄文の石笛;天の磐笛 ほか)
芭蕉が聴いた音の世界
昔の音、今の音(日本の楽器;オーケストラの音色とその歴史;縄文・弥生の楽器 ほか)
いま、何のために音楽するのか―民俗芸能・社寺芸能による作品の成立について
(『追分節考』;『萬歳流し』;『北越戯譜』 ほか)
著者等紹介
柴田南雄[シバタミナオ]
1916‐96年。作曲家・音楽学者。東京生まれ。1939年東京大学理学部卒業。43年同文学部卒業。東京芸術大学、放送大学などで教鞭をとる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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k.m.joe
6
日本語や日本文化には、音・音楽の存在が密接に関わっているのを知らされる。西洋楽器と和楽器(より広範囲には非西洋楽器)の違いも納得。著者が作曲・構成したシアターピース(演劇と合唱の融合)作品の核となるのは、ライブ感だったり、一期一会的感動だったりする。下地は日本の民俗芸能や社寺芸能。立ち位置が定まっているので理解は進む。2012/08/26
秋色の服(旧カットマン)
2
坂本龍一氏の先生。日本の音楽を考える上で、本当に参考になる視点を与えてくれる。勉強になります。2017/12/13