出版社内容情報
たとえ今日が悲しくても、明日のご縁を結びます――。事情を抱えて生きる人びとの人情を、縁結びの物語に織り込んで描く時代小説。不貞を疑われて妻の座を追われ、独り住むことになった日本橋の芽吹長屋で、おえんはふとしたことから男女の縁を取り持つことになる。嫁き遅れた一人娘と絵の道をあきらめた男、ひどく毛深い侍と若い娘、老いらくの恋。遠慮のない長屋のつきあいにもなじむ頃、おえんの耳に息子の心配な噂が入ってくる……。人びとの悲しみと幸せ
を描く時代小説。『結び屋おえん 糸を手繰れば』改題。
志川 節子[シガワ セツコ]
内容説明
不貞を疑われて妻の座を追われ、独り住むことになった日本橋の芽吹長屋で、おえんはふとしたことから男女の縁を取り持つことになる。嫁き遅れた一人娘と絵の道をあきらめた男、ひどく毛深い侍と若い娘、老いらくの恋。遠慮のない長屋のつきあいにもなじむ頃、おえんの耳に息子の心配な噂が入ってくる…。人びとの悲しみと幸せを描く時代小説。
著者等紹介
志川節子[シガワセツコ]
1971(昭和46)年、島根県生れ。早稲田大学第一文学部を卒業後、会社勤務を経て、2003(平成15)年「七転び」でオール讀物新人賞を受賞。’13年『春はそこまで 風待ち小路の人々』が直木賞候補に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
72
2016年980冊め。不貞の疑いをかけられ商家から離縁された三十路女性が、長屋暮らしをしながら縁結び稼業を始める。ほっこりする人情噺もあれば、時代物らしい子どもを失くす・亡くす話もあったりとバラエティに富む。幸吉の話では、読者が感情移入しているだろうおえんの言動を親の勝手であると指摘するシーンではっとさせられた。おそらくシリーズ化するだろう作品で次巻にも期待。2016/11/10
タイ子
53
大店の商家で生まれ、大店に嫁いだおえん。数年後、旦那から不貞を疑われ三行半を突き付けられ芽吹長屋に住むことに。なにせ、おえんはこれまで女中付きで過ごした人生。長屋暮らしなんてと思っても日は昇り、夜はやってくる。内職がてらおえんの見つけた縁を取り持つという仕事。誰も不幸にならない、幸せを結ぶ糸。おえんが残してきた息子の問題もあったり、長屋住人の助けもあったり、奥様然の殻を破っていく様が心地よい。人は置かれている場所でどう生きるか、そんな事を教えてくれる作品。それにしても離縁した元旦那にはむかつくなぁ。2019/02/19
優希
45
妻の座を追われ、独りとなったおえんは、ふとしたことで男女の仲を取り持つことになります。人々の悲しみと幸せの両方を見ることになったのですね。人情そのものを描いていたように思います。2022/02/24
ちえ
37
不貞を疑われて嫁ぎ先の味噌問屋から離縁を言い渡され日本橋の長屋で暮らすことになったおえん。人と人の縁を取り持っていく中で、自分のあり様を振り返っていく様子に好感が持てる。長屋に住む人を始めおえんを取り巻く人たちが生き生きしている。それにしても江戸では、はぐれたり迷子になっての親子生き別れが多かったんだなあ…。2020/05/29
ちょるる
23
長屋人情もので面白かったけど、何かちょっと物足りない気もした。主人公のおえんがこのままで大丈夫なのだろうか?と思ったり、おえんの息子の幸吉のことも心配になったからだろうか?でも所々心に残る深いセリフもあり、読みやすかった。2018/01/27