内容説明
永井荷風は辛辣な批評性を懐に江戸戯作者の姿勢に身をやつし、遊里、遊興の巷を舞台にして女性たちの生きかたの変転を描いた。本書は初期作品から『つゆのあとさき』『〓(ぼく)東綺譚』まで主として小説作品を取り上げ、その確固とした近代性の質を自在に論じて作品の奥底に隠された生成の秘密を照らしだし、現代に生きる荷風文学の魅力を明らかにする。
目次
深川へ行きて唄え
大正八年七月朔の回想
“始まり”の終り
小説の発見
エミール・ゾラの方へ
E.Zola-X=?
ゾラを離れて
抒情する旅行者
恋する旅行者
歓楽と恐怖のあいだで
ふらんすに賭ける
荷風氏、東へ帰る
新帰朝者の模索
冷笑の思想
今と昔の変幻
花柳小説の誕生
新橋の内と外
笑劇の哀愁
「雨瀟瀟」と「わたし」
『断腸亭日乗』事始め
『つゆのあとさき』まで
自然主義の精製
夢の住む場所
吾事に非ず/吾事なり
大厦の覆るとき
著者等紹介
菅野昭正[カンノアキマサ]
1930年生まれ。文芸評論家、フランス文学者、日本芸術院会員。日本とフランスの近現代文学に関する批評と研究を精力的に続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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