内容説明
「賽は投げられた」は、本当は「賽を投げろ」だった?「健全な肉体に健全な精神」のもともとの意味とは?西洋古典学者として高名な著者が放つ、西洋古典が起源の英語のことわざや、意外な英語の語源、語学学習の思わぬ落とし穴など、語学学習にはもちろん日本語を書くうえでも役に立つ、蘊蓄とウィットが満載の楽しいエッセイ集。
目次
1(‘It’s Greek to me’考;Rは犬の字 ほか)
2(イソップなどを読んで文楽や志ん生を思い出すこと;ヒストリアはいつから歴史になったか ほか)
3(シクラメン;棺のこと ほか)
4(語学の練習問題の楽しみかた;ある英語の試験問題のこと ほか)
5(ギリシア語・ラテン語を学んで日本語を考える;書き言葉について ほか)
著者等紹介
柳沼重剛[ヤギヌマシゲタケ]
1926年東京生まれ。京都大学文学部卒業。東京大学大学院修了。筑波大学名誉教授。専門は、西洋古典学(ラテンおよびギリシア文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Koning
16
柳沼せんせの随筆なのだが、古典学者ってこうあるべきだよねと思わざるを得ないというか。恐らく大方の人はふーんと思っても気にせず通り過ぎちゃうネタをちゃんと調べる。もちろん異文も調べてなんでそんな言い回しが?とか専門の古羅と古希の森林に分け入るって行く。その姿を垣間見るとなんて今のわれわれは安っぽい上っ面で満足しちゃってるんだろうと思う訳で。なんだかいろいろと反省させられちゃうというかなんというか(汗。でも面倒な探し物にもちょっと勇気をもらえた感じで嬉しいトコです。2013/06/12
サアベドラ
13
高津春繁の弟子で、プルタルコスの翻訳やトゥキュディデスの文体研究で知られる古典学者・柳沼重剛のエッセイ集。「賽は投げられた」は何語で発せられたか(ラテン語に決まってる?そう思っている方は本書を読んでみてください)とか、英国に留学した時のエピソードとか、ラテン語とギリシア語の文体の違いとか、レベルも分野も様々な話が軽妙な文章で綴られている。古典語をやってる人はかなり楽しめる。それ以外でも言語や西洋古代史に興味がある人なら楽しめると思う。2013/04/12
いとう・しんご singoito2
5
プルタルコスの訳者による気儘なエッセイ。楽しく読ませていただき、勉強にもなりました。2024/12/14
キムチ
4
ラテン語はともかくギリシャ語の知識があまりに無いため難しいところもあった。目の付け所が面白かった。 ギリシャ語も勉強しないとなと思わせてくれる一冊。2017/06/12
おとや
3
5年ほど前に亡くなったギリシャ古典の専門家である柳沼重剛先生のエッセイ集。「語学者」を「言語学者」と読み違えて読み始めたのだが、先生はあくまで文学が専門であって、言語学が専門ではない。しかし、このエッセイ集では時に言語学的な視点から、時に文学的な視点から言葉に纏わるあれこれが自由軽妙な語り口でくさぐさ綴られており、読んでいて愉快。2013/05/22