感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほたぴょん
2
下巻の中心となっているのは、これまでに取り上げてきた幾人かの戦後派作家たちが、登場してきた時代を過ぎてのちにどのような仕事をしてきたかである。それは、1956年の経済白書で「もはや戦後ではない」と言われる以前にも、時代の潮流が変化していたということであり、その変化の中での戦後派作家の仕事を見ることで、「戦後文学」とは何であったかを考えようという著者の目論見を示してもいる。そこには様々な側面があるが、「近代の超克」であった戦争時代の、さらなる超克としての戦後派、という意識が本多秋五にはあったように思える。2014/09/15
しんかい32
0
45~55年ごろまでの文学模様。個々の作家論は興味深く、語り口も砕けた感じで面白い。ただし歴史的に評価の定まっていない時期にとりあえず著者の考え方をまとめたといった趣があるため全体像が把握しづらく、親しみやすい口調の割には読むのに忍耐がいる面もある。途中共産党の内部闘争に深入りするところなどはかなりしんどいと思ったら、著者自身も読み返したらさっぱり面白くないと言っていてウケた。2012/06/18