出版社内容情報
日本近代文学を彩る個性的なヒロインたち.明治から戦後へと移り変わる時代風俗とともに女性の意識と心理が,著者独自の身体論,文化記号論の自在な援用で浮びあがる.物語を読む醍醐味を満喫させる名講義.
内容説明
『にごりえ』のお力、『金色夜叉』のお宮、『雁』のお玉、『或る女』の葉子、『痴人の愛』のナオミ、『武蔵野夫人』の道子―日本近代文学を彩る六人のヒロイン。明治から戦後へと移り変わる時代風俗とともに女性の意識と心理を鮮やかによみがえらせ、著者独自の身体論、文化記号論を自在に援用して、作家の意図と小説の仕掛けをときあかす。物語を読む醍醐味を満喫させる名講義。
目次
第1話 樋口一葉『にごりえ』
第2話 尾崎紅葉『金色夜叉』
第3話 森鴎外『雁』
第4話 有島武郎『或る女』
第5話 谷崎潤一郎『痴人の愛』
第6話 大岡昇平『武蔵野夫人』
著者等紹介
前田愛[マエダアイ]
1931‐1987。国文学者。神奈川県生まれ。1957年東京大学文学部卒業。立教大学で教鞭をとった。近世文学、近代文学の独創的研究で知られる
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感想・レビュー
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コノヒト
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「語り下ろし」の形でなされた本文が親しみ易くてすっすと読めてしまう。近代文学の中で描かれるヒロインの姿から時代時代の生活様式社会通念時事風俗を見てとることを通して小説作品を読み込もうという試み。読み込むことができますよという提案。鷗外のところが一番面白かった。未読は『或る女』と『武蔵野夫人』。二作とも手許に文庫本の準備はできている。あとは読むだけだ。2016/07/28
kumiko
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大学の頃、ゼミのテキストだったので読んだ記憶がかすかにあるけど、案の定すっかり忘れてました。単純に読むだけじゃなくて、時代背景を含めて読み解いたり、表現を楽しんだりするのって最近してないなって気づかされました。2014/03/23