出版社内容情報
殿山泰司は髪の毛がなくなって売れだした.奇行変癖を衒ったその自称三文役者は,ミステリーとジャズと女をこよなく愛し,権力と権威を嫌ってしたたかに脇役を演じ続けた.交友50年の新藤監督による評伝.映画「三文役者」原作.林光解説
内容説明
殿山泰司は髪の毛がなくなって売れだした。奇行変癖を衒い、ジーパン、サングラスの自称三文役者は、ミステリーとジャズと女をこよなく愛し、権力と権威を嫌ってしたたかに脇役を演じ続けた。死後、二つの墓ができた彼の人生とは何だったのか―。交友五十年の新藤監督による鎮魂の評伝。映画『三文役者』原作。
目次
三文役者の死
三文役者お別れの会
三文役者を偲ぶ会
お多幸のタイちゃん
タイちゃんの中学行状記
役者になりたいタイちゃん
タイちゃん帝国軍人となる
かつぎ屋のタイちゃん
独立プロとレッドパージ
タイちゃん恋をする〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わかめ
1
新藤監督が交友50年、苦楽を共にしてきた脇役俳優 殿山泰司さんの生涯をつづったこの本は、そんじょそこらの評伝とは一線を画しています。誰もが一読すればタイちゃんを大好きになってしまう。その人となりが慕わしくってしょうがなくなる。こんなに心を込めて丁寧に、自分の一生をつづってもらえるなんて、タイちゃん、幸せ者だなあ~。それくらい、愛すべき人物だったのでしょう。当時の映画業界を知れるのも嬉しいです。2015/10/25
駄目男
1
日本にも明治、大正生まれの名脇役と言われる俳優さんは無数に居たはずだが、今日、それらの人の名はもちろん出演作まで忘れ去られてしまうのは全く偲びない。 昔の映画には頻繁に出てくるが名前は知らないし、どんな経歴でどんな人生を歩んだか皆目判らず。 一度NHKなどでこういう無名の俳優さんたちを取り上げる番組など作ってはどうかと思うのだが。そこにいくとまだこの殿山泰司さんなんかは知られているほうだと思う。ほんとうのチョイ役でのいつもいい味を出していた。 ミステリーとジャズと女をこよなく愛した人生。