出版社内容情報
アジア太平洋戦争を経験した兵士たちのほとんどが鬼籍に入った。彼らが体験し、記憶として伝えようとした戦場とは一体どのようなものだったのだろうか。中国への侵略に始まり太平洋や東南アジアに戦線を広げながら破局にいたる戦局を辿りつつ、兵士たちの残した膨大な体験記をもとに、戦場の実態を描き出す。解説・久保田貢
【目次】
はじめに
〈戦争の記憶〉の希薄化
戦争の〈表の記憶〉と〈裏の記憶〉
本書の目的――〈戦争の記憶〉の再構成と歴史叙述化
本書の方法と留意点
代表的兵士のプロフィール
第1章 侵攻と殺戮――泥沼化する日中戦争(1939年~1941年12月)
1 奥地侵攻と援?ルート遮断――西進と南進
奥地侵攻と航空戦
援?ルート遮断をめざす海上封鎖
大陸に分散する日本軍
2 重慶爆撃と零戦
さらに奥地へ――宜昌の占領・放棄・再占領
苦戦する対重慶戦略爆撃
零戦の登場と「伝説」の誕生
3 対ゲリラ戦闘と秘密戦
大兵力の駐屯と「高度分散配置」
八路軍「百団大戦」の衝撃
残虐行為の悪循環
生物化学兵器の使用
上海共同租界での謀略活動
さらなる秘密戦の展開――偽札による経済謀略戦
第2章 勝利と代償――世界戦争への突入(1941年12月~1942年3月)
1 先制と集中――航空戦の勝利
マレー半島コタバル上陸をめぐって
ハワイ真珠湾攻撃
フィリピン航空戦――海軍の場合
フィリピン航空戦――陸軍の場合
マレー沖海戦――「中攻」の栄光
生か死か――薄氷を踏む航空戦
2 南方侵攻作戦――勝利と占領の陰で
コタバル海岸の兵士たち
マレー半島進撃の難航
戦車隊の敵陣突破
第二次長沙作戦の強行
水中からの真珠湾攻撃
ウェーク島での蹉跌
第3章 蹉跌と消耗――戦局の転換(1942年4月~1943年10月)
1 ミッドウェー海戦
ミッドウェー島空襲
「赤城」の艦橋
便乗者の海戦
五里霧中――アリューシャン作戦
2 ガダルカナル海空戦
ガダルカナルをめぐる海空戦――第一次ソロモン海戦
ガダルカナル上空の戦い
ガダルカナルをめぐる海空戦――南太平洋海戦
難渋する補給戦
飢餓地獄の戦場
3 ニューギニアの戦い
ポートモレスビーの灯り
ブナ地区の「玉砕」
ラエ・サラモア方面増援の失敗
4 ソロモンの大消耗戦
ソロモン撤収作戦
「中攻」の墓場
虚報の始まり――ブーゲンビル島沖航空戦
第4章 退却と飢餓――防衛ラインの崩壊(1943年11月~1944年9月)
1 ギルバート諸島の失陥とトラック諸島の壊滅
ラバウルの落日
マキン・タラワの「玉砕」
トラック諸島の壊滅
2 果てしなき退却と新たな攻勢の始まり
ニューギニア――果てしなき退却
中国――大陸打通作戦の始まり
ビルマ――