出版社内容情報
近代のあらゆる言説アーカイヴから、既存の学問分野ごとに仕切られた分類の枠をとり外し、横断的に俯瞰することで「表象空間」を特徴づける輪郭線の描出を試みる。最終巻では文体によってシステムに「穴」を穿とうとする透谷・一葉・露伴を論じる。定説を大きく揺さぶった大著、待望の文庫化!(解説=田中純)(全三巻)
内容説明
「言文一致体」の均質的な合理主義に背を向け、「漢文体」に反時代的ともいえる執着をした北村透谷、樋口一葉、幸田露伴。三者三様の「書き方」で試みたのは、身体的無意識となまなましく共鳴するエクリチュールによる「理性」への批判だった!「国語」からいかにして逃れうるか?優れた文学作品とは何か?膨大なテクストの新たな読みを提示し、明治の表象空間の全貌がついに描き出される最終巻!(全三巻)
目次
36 奇蹟―樋口一葉(一)
37 狂気―樋口一葉(二)
38 婦徳―樋口一葉(三)
39 禽獣―樋口一葉(四)
40 過剰―幸田露伴(一)
41 怪物―幸田露伴(二)
42 離脱―幸田露伴(三)
43 リアリズム―幸田露伴(四)
44 現在―福地桜痴(一)
45 浅薄―福地桜痴(二)
46 情報―福地桜痴(三)
終章 総括と結論(セリー1=理性;セリー2=システム;セリー3=時間;結論)
著者等紹介
松浦寿輝[マツウラヒサキ]
1954年東京生まれ。詩人、小説家、批評家、フランス文学者。東京大学名誉教授。1988年『冬の本』で高見順賞、95年『エッフェル塔試論』で吉田秀和賞、96年『折口信夫論』で三島由紀夫賞、同年『平面論―一八八〇年代西欧』で渋沢・クローデル賞平山郁夫特別賞、2000年『知の庭園』で芸術選奨文部大臣賞(評論等部門)、同年「花腐し」で芥川賞、05年『あやめ 鰈 ひかがみ』で木山捷平文学賞、同年『半島』で読売文学賞、09年『吃水都市』で萩原朔太郎賞、14年『afteward』で鮎川信夫賞、15年本作で毎日芸術賞特別賞、17年『名誉と恍惚』で谷崎潤一郎賞およびドゥマゴ文学賞、19年『人外』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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