出版社内容情報
生き物図鑑とドリトル先生の大好きな少女が、いかにして進化生物学者になったのか。 それまで通説だった「群淘汰」「種の保存」という考えの誤りに気づき、むしろ「遺伝子淘汰」「性淘汰」の考えこそ重要なのだと認識し、進化生物学者として成長していく著者の人生の歩みと、人間の進化と適応に関する興味深い話が語られる。
内容説明
生き物図鑑とドリトル先生の大好きな少女が、いかにして進化生物学者になったのか。それまで通説だった「群淘汰」「種の保存」という考えの誤りに気づき、むしろ「遺伝子淘汰」「性淘汰」の考えこそ重要なのだと認識し、進化生物学者として成長していく著者の人生の歩みと、人間の進化と適応に関する興味深い話が語られる。
目次
豊かな自然と図鑑たち
博物学者になりたい
進化と行動研究への足がかり
ニホンザルの研究と「種の保存」の誤り
アフリカの日々
群淘汰との闘い
博士論文を書く
ケンブリッジへ
ケンブリッジ大学とイェール大学
ダーウィンとの出会い
科学とは何か?
人間の進化と適応を考える
動物の世界から性差を考える
ヒトにおけるセックスとジェンダー
著者等紹介
長谷川眞理子[ハセガワマリコ]
1952年生まれ。東京大学大学院理学系研究科人類学専攻博士課程修了。理学博士、現在、総合研究大学院大学学長。専門は行動生態学、自然人類学、進化生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
79
図書館の新刊コーナーで見つけて。子供の頃、ドリトル先生に夢中になり、博物学者になりたいと思った。アフリカ、ケンブリッジ、ガラパゴス、シチリア、等々、世界各地を回りながら、動物の進化について研究を重ねていく。著者は、私とほぼ同年代、女性に対して厳しい差別もあった年代だと思う。その中でこのように研究を続けられたのは幸せだったのだろう。それだけに、最後にジェンダーについて論じていることは、生物学者としての視点と、女性の科学者として生きてきた視点からもたらされたものだろう。2022/02/16
やいっち
73
(前略)「生き物図鑑とドリトル先生の大好きな少女が、いかにして進化生物学者になったのか。(中略)進化生物学者として成長していく著者の人生の歩みと、人間の進化と適応に関する興味深い話が語られる」という本。2022/02/02
kenitirokikuti
7
図書館にて。元本は2006年刊行で21年に増補して文庫落ち。2010年のタンザニア再訪記。都市を離れると、村は昔と同様に電気ガス水道なしだが、水汲み女たちはケータイ片手におしゃべりしてた、と。ドーキンス『利己的な遺伝子』、邦訳は1991年だが、著者は1979年のタンザニア調査のときに持参したそうな。自分は…そうだ、ちょうど翻訳版が高校の図書室に入ってたので読んだんだったけ▲第十二章 人間の進化と適応を考える、第十三章 動物の世界から性差を考える、第十四章ヒトにおけるセックスとジェンダー、は良いまとめ2022/05/15
茶幸才斎
5
ドリトル先生を愛読した幼少期を経て、動物行動への関心から東大では霊長類研究で博士号を取り、ケンブリッジ大でシカの雌雄の繁殖戦略を研究し、最終的にヒトの人間性の進化と文化的側面に着目するに至る筆者の来歴を綴った本。筆者が最後に述べる人の男女の性差とジェンダー差に関する考察は、もはや変異と淘汰に基づく進化論ではなく、文化・社会形成論である。大変興味深いのだが、それは採取したデータから言えることだけを云う自然科学ではなく、人文学的な自説の展開であり、昔から私が筆者を科学者っぽくないなと感じる理由もこの辺にある。2022/06/07
くらーく
4
時代が違うので、今の子がこれを読んで参考になるかな。本当に環境がガラッと変わった事を実感させられます。 日本の今の研究環境をもっと良くしてあげて欲しいな、とつくずく感じます。予算をもっと研究にシフトして欲しいですな。2022/01/23