出版社内容情報
「余計者」を無視し、黙殺し、遠ざけようとする脱-実在化の暴力に抗し、それぞれの位置から語られる言葉に敬意を払い、一人ひとりの政治的存在者としての現われを相互に保障しあう。アーレントやハーバーマスの議論を踏まえ、排他的な同質性の政治を批判的に問い直す、内向きに閉じない社会統合の可能性を切り開く書。
内容説明
余計者を無視し、黙殺し、遠ざけようとする脱‐実在化の暴力に抗し、一人ひとりの政治的存在者としての現われを保障しあう、新たな社会統合の可能性とは。コロナ・パンデミックに照らして本書の論点と直視すべき課題を整理する「岩波現代文庫版あとがき」を付す。
目次
1(デモクラシーと複数性;デモクラシーと社会統合)
2(表象の政治/現われの政治;公共性の二つの次元)
3(社会の分断とセキュリティの再編;社会的連帯の理由;親密圏のポリティックス)
4(政治的責任の二つの位相;丸山眞男における多元化のエートス)
著者等紹介
齋藤純一[サイトウジュンイチ]
1958年生まれ。早稲田大学政治学研究科博士課程単位取得退学。現在、早稲田大学政治経済学術院教授。政治理論・政治思想史専攻。『岩波講座 政治哲学』の編集委員を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばんだねいっぺい
22
知性の役割として、複数性を包摂する大切さは、元より、結局のところ、one for the allの国民統合を維持する具体的な手段が最も必要ということ。2023/12/27
かんがく
11
内容が極めて濃いためじっくり丁寧に読んだが、たくさんの気付きを得られた。アレント、フーコー、シュミット、ロールズ、ハーバーマス、丸山眞男など私が以前から気になっていた思想家が多数扱われおり、とても面白く読めた。複数性、公共圏と親密圏、民主主義、国民国家、フェミニズム、歴史問題など対象となるテーマはとても広いが、それぞれが綺麗に繋がっていくため、視野が広がった。2022/04/05
バーニング
2
文庫化を機に約10年ぶりに読んだが再読の価値が大きい一冊だった。あらゆるところで分断が進む中でいかにして包摂的な社会統合を目指していけばよいのか、といった大きなテーマは現代にこそ痛切に必要な議論だろう。2021/07/03
PETE
2
ハードカバーで読んだ本の再読。2010代前半での政治理論の問題系が、的確な文章でほとんど示されている。2020年代の現代では、もちろんポストトゥルースに関する1章が別に必要だが、これが文庫本になったのだから、大学生のゼミの教科書として今後10年くらいは使えるのではないかと思う。2021/04/30
takao
0
ふむ2025/05/14
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