出版社内容情報
秘められた悲しみにまなざしを向け、声にならないつぶやきに耳を澄ます。記憶と忘却、証言と沈黙、加害と被害、からだと言葉、そして、ともに生きていくことをめぐって、強くしなやかに織りなされたエッセイ。鵜飼哲・金石範・崎山多美の三氏による応答の文章に加え、待望の書下ろし「徘徊の棲家・ハニビルレ」等を収録。
内容説明
秘められた悲しみにまなざしを向け、声にならないつぶやきに耳を澄ます。記憶と忘却、証言と沈黙、加害と被害、からだと言葉、そして、ともに生きていくことをめぐって、強くしなやかに織りなされた稀有なエッセイ。鵜飼哲・金石範・崎山多美の三氏による応答の文章に加え、待望の書下ろし「徘徊の棲家・ハニビルレ」等を収録。
目次
つぶやきの政治思想―求められるまなざし・かなしみへの、そして秘められたものへの
遠い島の友へ…―尹東柱「たやすく書かれた詩」
友人はみな“軍人”だった
それはフケのせいなのよ
影の言葉を求めて…―いまだ幽冥の場所から
あなたへ 島
ある「まなざし」の経験―鵜飼哲による応答
忘却は蘇えるか―金石範による応答
“ベー”を反芻する―崎山多美による応答
徘徊の棲家・ハニビルレ―応答にかえて
著者等紹介
李静和[リジョンファ]
韓国済州島生まれ。1988年来日。成蹊大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kentaro mori
4
⚫️分からないこと。分かってはならないこと。消費するのではなく受容しなければならないこと。それは語る私に、聞く我々に、居心地悪さを残す。外部からはどう解釈してもいい。だが、いったん枠に入った瞬間からは、解釈することを拒否しなくてはならない。 それが生きる場だから。 それを語るには、消費されない言葉、生き方における選択につながる言葉を見つけなくてはならない。2020/04/24
saiikitogohu
2
「「慰安婦」ハルモニたちの語りを、完全に完結した物語として、証言として問題化するときに出てくる問題。…網に引っかかってくるもの、つまり社会が要求する必要性に応じたもの。そこから抜け出していくもの、つまりリアリティ。…それは言い換えれば、まだ語れない、語ることのできない、あるいは語ってしまった場合生きていくことができなくなってしまうもの。私はこうやって生きてきたのよ、私はこういうふうに生きているのよという自分のからだのなかでの正当性の根拠を失う可能性のある部分は、話せない、語れない。…」続2020/05/24