内容説明
現実政治の上では米国の覇権主義によって人権や正義という普遍的原理が蔑ろにされ、政治理論・法理論の上では哲学的普遍主義から退却する傾向がみられる―こうした動向に深刻な危機感を抱く著者は、ラディカルなリベラリズムの立場に立ち、多文化主義やフェミニズムとも対話しつつ「内発的普遍主義」のヴィジョンを提示する。2019年現在における本書の意義・読みどころを著者自身が簡潔に解説した「岩波現代文庫版へのまえがき」「岩波現代文庫版へのあとがき」を付す。
目次
第1部 国家を裁く普遍(戦争責任という問題―「昭和末」の狂躁から)
第2部 覇権を超える普遍(アジア的価値論とリベラル・デモクラシー―欧米中心主義をいかに超えるのか;グローバル化の両価性)
第3部 多元性を開く普遍(国民国家の生成と変容―テクストからの展望;多文化主義の政治哲学―多文化共生への三つの思想戦略;フェミニズムとリベラリズム―公私二元論批判をめぐって;普遍の再生―歴史的文脈主義から内発的普遍主義へ)
著者等紹介
井上達夫[イノウエタツオ]
1954年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。専攻は法哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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