内容説明
キリスト教神学者でありながら、反ナチ抵抗運動の一員としてヒトラー暗殺計画に加わり、ドイツ敗戦直前に強制収容所で処刑されたディートリヒ・ボンヘッファー(一九〇六‐四五)。生命を賭して時代への抵抗を貫き、若くして殉教への道を選んだのは、なぜか。新たな知見も交えながら、その生涯と思想の意味を現代に問う。
目次
1 生涯(ボンヘッファーの生涯;時代精神の状況分析―「一〇年後に」を読む;「獄中詩」における自己分析)
2 思想(信仰の服従のために―『服従』を読む;“責任倫理”を生きる―『倫理』を読む(1)
政治的抵抗の神学構想―『倫理』を読む(2)
“真のこの世性”を問う―『獄中書簡集』を読む)
3 遺産(ボンヘッファーと日本)
付論 祈ることと正義を行なうこと―ボンヘッファーの生誕一〇〇年の記念に
著者等紹介
宮田光雄[ミヤタミツオ]
1928年、高知県に生まれる。1951年、東京大学法学部卒業。東北大学名誉教授。ヨーロッパ思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ホシ
24
「神の御前で、神と共に、われわれは神なしに生きる」時代が下るとともにキリスト教は世俗化する。しかし、それは'成人した世界'の到来であり、神の望まれることである。そして神との真の対峙は成人した世界の此岸性の中でしかありえない。―かなり難解でしたが、こういう事ではないかと。宗教の世俗化を廃退と捉えずに「高価な恵み」への布石と見る所にボンヘッファー独自の神学があるのだと思います。この点は首肯できるのですが、なぜキリスト者が独裁者ヒトラーの暗殺に加担できるのかのロジックはいまいち消化できなかったかな。2021/01/05
qwer0987
4
私個人の知識量や理解力の関係のせいか、少し難しかった。だが感銘を受ける部分はいくつもある。特に第2章の時代精神の状況分析は興味深く現代にも通じるものを感じる。そしてナチスに抵抗しようと決意したボンヘッファーの意思に感嘆とさせられた。彼の根っこには神への絶対的な信頼と神への帰依の気持ちがあるのだろう。ちゃんと理解できているかは自信がないが、そんな神への信頼に基づき、より良く生きていくことで結果的に彼は神と結びつこうとしているように感じられた。その他目を引く内容も多く、いろいろ勉強になった次第だ2020/05/05
くり坊
2
ボンヘッファーの『獄中書簡』を読むべきか、読まざるべきか迷っていて、手に取った概説書が、この本でした。本書の第7章が「《真のこの世性》を問う‐『獄中書簡集』を読む」という章立てになっており、その箇所だけ読もうと思っています。278~327頁の箇所になります。そちらを読んでみて、『獄中書簡』を読むか、読まないかの指針にしたいと思っています。2024/04/19
燐寸法師(Twitter @matchmonk)
2
3周目読了(第七章だけ)2022/05/04
燐寸法師(Twitter @matchmonk)
1
[読書ノート/4000字]主に「成人した世界」について、ご参考までに。特に断りがなければ、鉤括弧の箇所はボンヘッファーの文章から孫引き引用です。2021/11/10
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