内容説明
神と人間、存在と無、そして“私”と他者…、中世哲学の真髄はいくつもの差異を乗り越えていくことにある。「小さなもの」へのまなざしのもと断絶を飛び越えようと、本書は中世哲学の本丸に挑む。現代思想も分析哲学ものみ込むダイナミックなエンジンを備え付けた思考実践が、中世哲学のよろこびと深みを生き生きと伝える。
目次
序章 リアリティのゆくえ
第1章 天使の言葉
第2章 欲望と快楽の文法
第3章 聖霊とコミュニカビリティ
第4章 肉体の現象学
第5章 媒介の問題としての“存在”
第6章 普遍とリアリティ
終章 “私”というハビトゥス
著者等紹介
山内志朗[ヤマウチシロウ]
1957(昭和32)年山形県生まれ。東京大学大学院人文社会研究科博士課程単位取得退学。新潟大学人文学部教授を経て、慶應義塾大学文学部教授。専門は中世哲学。その他、現代思想、倫理学、身体論、修験道などを幅広く研究し、執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
6
正直、その十分の一も理解できてないような気がするが、中世哲学から、ドゥルーズやイスラム哲学まで駆使して、天使論、トマス、スコトゥスを論じるスリリングな展開に惹きつけられて読み進めることに。結局、天使って?特に前半において頻出するコミュニカビリティという概念って一体何なのか?という疑問は殆ど解消されていないが、それを理解するために、今一度読んでみようという気にさせられるのは、本書が持つ魅力が故だろう。また、本書を読み進めていくうちに、分からないところで立ち止まろうとしない自分の不誠実な読みを恥じることに。2023/05/03
evifrei
6
本書の『天使』の定義は、純粋で汚れの無い完全な存在である。前半部分は、現代社会が抱える問題点たる自らが天使になることを希求する天使主義に警鐘を鳴らす形で展開され、後半は中世哲学の敷衍から形・身体性・存在の検討がされる。前半と後半でパカッと別れてしまっている感じも受けるのだが、語れぬ物を語らんとするスコラ哲学の特質上、どうしても情報の授受は直観で補われねばならない所はあるのだろう。テーマは多岐に亘るが、七つの大罪の解釈部分が最も興味深い。人間の生存に根差す欲望の暴走は人間否定の直結を意味する故に大罪との事。2019/09/08
午後
2
天使の話は全然出てこないが6章は面白い。2021/10/08
Go Extreme
1
リアリティの喪失 内在と超越の交わる点 身体性の重要性 以心伝心 (天使のコミュニケーション) 不確実な人間の言語 コミュニカビリティ スコラ哲学 熱い思索の激流 霊 (プネウマ) 天使主義 欲望の凡庸性 禁欲の逆説 電子的グノーシス主義 グノーシス主義 現実世界の否定 媒介概念 媒介の本質 自己否定によって他を示す 個体化 ヘッケイタス (個体本質) 己有化 (アプロプリアーティオ) 存在の一義性 アナロジー 可能態と現実態 経験しなければ分からない vs 経験しなくても分かる 模倣欲 普遍と個別2025/04/21
七草奈々子
1
「グノーシス主義の現代」や「私とはハビトゥスである」など主張は興味深く、検討されるべきことだと思う。他面、これはこの筆者の癖なのだと思うが、哲学的な議論が重ねられ、いよいよ結論に達そうとするときに結論が明示されず、筆者の気持ちが述べられてモヤモヤして終わるところが散見される。論理とお気持ちが交互にくるような様子で、極めて読みにくい。2023/08/21
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