出版社内容情報
ペリー来航から西南戦争終結に至る変革過程の大きな流れを、維新期史料に通暁する著者が、当事者たちの息遣いを伝える記録・書簡・日記等を駆使して筋道立てて描き出す幕末維新通史。(上巻は「下関戦争と禁門の変」まで)
内容説明
ペリー来航前夜から西南戦争終結に至る幕末維新期の歴史過程は、世界史的にみて極めて大きな変革であった。維新期史料に通暁する著者が、長年の研究成果を注ぎ込み、当事者たちの息遣いを伝える記録類・書簡・日記等を駆使して筋道立てて描き出す幕末維新通史。上巻は「第1部 前史」および「第2部 幕末史の過程」(慶応元年の条約勅許まで)を収める。
目次
第1部 前史(欧米列強の東アジア進出;一八世紀末以降の対露危機;平田国学と復古神道の成立;不平等条約世界体制とアヘン戦争;幕藩制国家と朝幕関係 ほか)
第2部 幕末史の過程(米露英艦隊の来航と日本の開国;ペリー来航はどう受けとめられたか―風説留世界の成立;幕府の安政改革;吉田松陰の歴史的位置;蝦夷地問題と松浦武四郎 ほか)
著者等紹介
宮地正人[ミヤチマサト]
1944年生まれ。東京大学史料編纂所教授、国立歴史民俗博物館館長を経て、東京大学名誉教授。専攻は日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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skunk_c
52
上巻は慶応の条約勅許まで。幕府・雄藩はもちろん、諸外国、浪士、各地の知識人の動向と思考を、丹念に史料(英語史料あり)を挙げながら、この複雑怪奇とも言うべき時代について詳述した労作。各所で腑に落ちる記載があり、今までの疑問が相当払われた。平田国学や吉田松陰の思想も素直に評価されており、最初は疑問にも思ったのだが、その狙いは「同時代に視点を定め、その時代の空気をつかむ」という手法と理解すると納得がいく。慶喜の手腕、西郷の柔軟性などの評価、さらに節目ごとにその転換点の歴史的意義を評価するなど丁寧な記述が嬉しい。2021/05/10
ゲオルギオ・ハーン
28
本格的に世界展開を始めた欧米諸国の動向も視野に入れ、国内の思想、主な政治勢力の動きも章に分けて説明したとても視野の広い一冊。これまで幕末の説明となると一会桑、薩長を中心にし過ぎて前後関係や朝廷と幕府の関係がどうしてそんなに拗れたのかよく分からなかったので本書の書き方はとてもありがたかった。欧米諸国の東アジア展開に従来の幕府―朝廷の体制ではうまく対応できずギャップが生じていく過程は読んでいるだけでも変革の必然性を感じとることが出来て興味深かったです。下巻の分析と考察も楽しみです。2021/08/15
無識者
14
おそらく講座派の影響受けた学者の本。講座派と言われるとイデオロギーチックに捉えられがちだが逆である。むしろイデオロギーというものは後付として捉えて当時日本の置かれている状況、国内の力関係を分析がメインである。上巻は薩長同盟の前段階まで。それまで朝敵である薩摩・長州がどのようにして中心になっていくのか下巻が楽しみである。2020/10/07
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