出版社内容情報
民族文化の自立と従属のはざまで苦闘しつつ,「沖縄学」を切り拓いた伊波普猷。その生涯と思索を軸に沖縄近代の精神史を描く評伝。現代文庫版には、「沖縄学」をも相対化しつつ根源的に日本を問い直す詩人・八重洋一郎の言葉を収める。
内容説明
「沖縄学」の父・伊波普猷(一八七六‐一九四七)は、貶められつつある沖縄の回復を願い、自立と従属のはざまで苦闘しながら民俗研究の独自のフィールドを切り拓いた。伊波の作品を丹念に読み解き、その生涯と思索を軸に沖縄近代の精神史を描き出す傑作評伝。現代文庫版には、「沖縄学」をも相対化しつつ根源的に日本を問い直す詩人・八重洋一郎の思索「付 歴史との邂逅―「日毒」という言葉」を収める。
目次
1 世替りを受けとめて
2 新知識人の誕生と帰郷
3 『古琉球』
4 精神革命の布教者
5 転回と離郷
6 「孤島苦」と「南島」意識
7 「父」なるヤマト
8 亡びのあとで
著者等紹介
鹿野政直[カノマサナオ]
1931年生まれ。早稲田大学名誉教授。専攻は日本近現代史、思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウンテンゴリラ
1
沖縄について、その歴史、風土を知ること、そして日本人として、それについて考えることを避けるべきではないということを、あらためて思い知らされた。かく言う私も、伊波普猷という人物も本書で初めて知ったのみならず、太平洋戦争終盤における沖縄戦も学校で習う歴史ではなく、社会人になってからの読書によってであったと記憶する。自分の無知を棚に上げて言うのも何だが、その程度が平均的日本人(ヤマト人)の沖縄に対する認知度であった、あるいは今もそうであるということの罪悪感、負い目をもっと感じる必要があるような気はする。→(2)2019/06/05