出版社内容情報
異なる他者の営為を〈歴史実践〉と捉え、複数の声の共奏可能性を全身で信じ抜く――根源的多元性の前に立ちすくむ世界に、人文学という希望をもって対峙するための魅力的な仕掛けに満ちた畢生の名著,ついに復刊!(解説=本橋哲也)
内容説明
「ケネディ大統領がカントリーに来た」。一見「誤った」アボリジニ長老の物語りに直面したとき、試されているのは彼らではなく私たちである。その語りに耳を澄ませば、それが私たちが日常で行う“歴史実践”と本質的に等価であることが浮かび上がる。近代知の権力性を超えて、異なる他者と対等に繋がり合う―困難な問いを、楽しさと喜びに満ちた挑戦として鮮やかに描き出す。
目次
第1章 ケネディ大統領はアボリジニに出会ったか―幻のブック・ラウンチ会場より
第2章 歴史をメンテナンスする―歴史する身体と場所
第3章 キャプテン・クックについて―ホブルス・ダナイヤリの植民地史分析
第4章 植民地主義の場所的倫理学―ジミー・マンガヤリの植民地史分析
第5章 ジャッキー・バンダマラ―白人の起源を検討する
第6章 ミノのオーラル・ヒストリー―ピーター・リード著『幽霊の大地』より
第7章 歴史の限界とその向こう側の歴史―歴史の再魔術化へ
第8章 賛否両論・喧々諤々―絶賛から出版拒否まで
著者等紹介
保苅実[ホカリミノル]
1971年生まれ。新潟大学教育学部附属小・中学校、新潟県立新潟高等学校、一橋大学経済学部卒。1996年一橋大学大学院経済学研究科修了。2001年オーストラリア国立大学歴史学博士号取得。1999年から2003年まで、オーストラリア国立大学太平洋・アジア研究所(人類学科、歴史学科)、人文学研究所に客員研究員として、2002年からは日本学術振興会特別研究員として慶應義塾大学に所属。2004年5月、病気によりオーストラリア・メルボルンにて逝去。同年7月、オーストラリア国立大学にて豪州の先住民族研究者対象の保苅実記念奨学金が設立された。研究領域:オーストラリア先住民族、少数民族、多文化主義、ポストコロニアル研究、サバルタン研究、オーラル・ヒストリー、「記憶と歴史」論、歴史人類学、エスニック・アイデンティティーなど(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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