内容説明
晩年の丸山眞男が、松沢弘陽・植手通有両氏によるインタビューにこたえた記録である本書は、個人的回想をはるかに越えた昭和史への類まれな証言である。研究の進展を踏まえた詳細な注を増補し「定本」とする。下巻では、戦後の激動期の社会・思想状況、平和問題談話会や憲法問題研究会、六〇年安保から東大紛争、そして東大辞職までが語られる。
目次
戦中戦後の自由主義
戦後の出発に向かって
三島庶民大学
生活問題としての戦後
太平洋戦争を省みる
アジアへの目
思想史研究と講義
サンフランシスコ講和・朝鮮戦争・六〇年安保
法学部改革・東大紛争・辞職
ポスト戦後と学問の将来
著者等紹介
丸山眞男[マルヤママサオ]
1914‐96年。政治思想史家
松沢弘陽[マツザワヒロアキ]
1930年生。北海道大学名誉教授
植手通有[ウエテミチアリ]
1931‐2011年。成蹊大学名誉教授
平石直昭[ヒライシナオアキ]
1945年生。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Praesumptio cedit veritati
1
久しぶりに再読。下巻は、戦後の状況に丸山眞男がどのように応接したかが中心的内容。「制度は精神なしに動かない」「文化は形式」「歴史を離れて社会科学はありえない」「欧州はキリスト教とヘレニズムの思想的伝統がある。これから外れたものは残らないか、修正を余儀なくされる」といった視点が、誰の発言やどのような事象に由来するのかを、具体的エピソードとともに語られている。南原繁をはじめとする当時の東京大学法学部の状況も興味を惹いた。脚注における補足説明も丁寧で良かった。2023/08/15