岩波現代文庫
『維摩経』を読む

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  • サイズ 文庫判/ページ数 320p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006003203
  • NDC分類 183.6
  • Cコード C0115

内容説明

代表的な大乗経典の一つである『維摩経』は、主人公の維摩が居士(在家の仏教信者)であることに特色がある。家族、職場、男女の複雑な人間関係、名誉、地位、金銭への拘り…。この汚濁の現実の中に生きながら、安らぎの道は得られるだろうか。『維摩経』は、在家の人々を救うことを第一のテーマとした経典である。世界の一切が「空」であると説きながら、菩薩の衆生への無限の慈悲が解き明かされる。

目次

第1講 大乗仏典と『維摩経』
第2講 仏陀の徳と仏国土
第3講 機智縦横の維摩
第4講 衆生病むが故にわれ病む
第5講 相即相入の世界
第6講 仏陀の道を行く

著者等紹介

長尾雅人[ナガオガジン]
1907‐2005年。印度哲学、仏教学専攻、京都帝国大学文学部哲学科卒。1951年、京都大学文学部哲学科教授(仏教学講座)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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はる

8
小さなひとつの光でも次々に移されることによって無限に心理が伝えれてゆく。真理は不滅で尽きることはない。この世界が我々に最も親しい、最も愛しい世界なのです。菩薩たちの体に降りかかった花はさらさらと地に落ちたけれども、声聞たちにかかった花は体にくっついて離れない。花には思慮も分別もない、花は花の自然のままに花です。身心脱落。2017/09/05

Yusaku

7
維摩詰 / ヴィマラキールティの言動録。 ヴィマラと文殊菩薩 / モンジュシリーの掛け合いで有名らしい。 ヴィマラという人の興味深いところは、悟りに到達しておきながら俗人の立場として話をしているところ。 仏教とか悟りというと一部の人の限られた環境の中でのお話かと思いきや、普通に生活している人の立場で話をしているのがいい。日常の中でも心を穏やかに幸せに過ごす場はあるのだなぁと思った。好きになった言葉、『縁起』行為者 感受者は無く、行為だけある。2018/01/02

AR読書記録

5
仕事の関連で、役立てられるところが見つからないかなーと探すような読み方。なので、理解などには到底結びついていないのだけれど(“理解”には、Eテレ『100分で名著』の維摩経の回が見られればよかったのかもしれないなぁ)、印象に残ったのは現実肯定の強さとか。あと菩薩さんたちもまだまだ悟り澄ましてなくて(?)、やっぱ仏教って単にお寺行ってお経あげて(誦んで)お願いしますって祈るだけのものじゃなくて、仏菩薩の姿に目標を見、お経を読んで自分なりに思惟し、自分で道を拓いていく助けとするものなんだろうな、と思ったりする。2018/03/25

yone

3
仏教学者長尾雅人先生の維摩経セミナーの記録。残念ながらテキストの中公文庫版の維摩経は現在絶版状態でアマゾンでも最低1500円ぐらいでした。お経の内容は、出家もしていない大富豪の維摩詰が仏陀の弟子達を散々やり込めるというある意味痛快なもの。セミナーという限られた中なので、端折っているところもあるけど、空への向上と衆生済度の向下の二方向をポイントとしているのは分かりやすいし、有名な沈黙が雷のように鳴り響くところも解説されていて、理解しやすい。高くても古本で維摩経を買おうかな。2014/11/12

Ind

2
大乗仏教には向上・向下の二種類の方向があり、これらが円を描くように進んでいくというのが面白かった。これまで中道というのは極端を避けるものと理解していたが、そうではなく、両極端ともに満たすものというものだったのが難解に思う。しかしこれも大乗仏教で指される解脱を考えるとある程度納得できた。また不可思議解脱という考え方は素晴らしいと思う。あらゆる魔は衆生を解脱させるために向下してきた菩薩だと考えると、生きる中で体験するあらゆる困難がありがたいものに感じてくる。2022/02/23

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