内容説明
『法華経』は、「諸経の王」とよばれる代表的な大乗経典である。全ての衆生を救わずにはおかないという仏教の根本テーマが、壮大な想像力により喚起される様々の妙麗な譬喩と、インドの説話文学を取り入れた長大な仏教文学として語られる。日本の仏教思想の根幹として、日本人の考え方、精神にまで広く深く浸透した。仏教学の泰斗が、本経の広範な内容と深い哲理を、分かり易い文章で的確にまとめて紹介した『法華経』入門のための名著。
目次
序品・第一・光端品第一・序品第一
方便品・第二・善権品第二・方便品第二
譬喩品・第三・応時品第三・譬喩品第三
信解品・第四・信楽品第四・信解品第四
薬草喩品・第五・薬草品第五・薬草喩品第五
授記品・第六・授声聞決品第六・授記品第六
化城喩品・第七・往古品第七・化城喩品第七
五百弟子授記品・第八・授五百弟子決品第八・五百弟子授記品第八
授学無学人記品・第九・授阿難羅云決品第九・授学無学人記品第九
法師品・第一〇・薬王如来品第一〇・法師品第一〇〔ほか〕
著者等紹介
渡辺照宏[ワタナベショウコウ]
1907‐77年。東京都生まれ。日本の仏教学者。1930年、東京帝国大学文学部印度哲学科卒。1935‐43年、智山専門学校教授(大正大学の前身)。1948‐53年、九州大学文学部助教授。1956‐69年、東洋大学文学部教授。1975年、成田山仏教研究所主席研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamahiko
18
宮沢賢治があれほどこだわった理由を知りたくて一読。法華経は真理の書というより信仰の書という印象。 2018/05/06
kk
15
再読。「物語」と銘打ってはいるものの、なかなかハードな内容。底本間の異同だの、漢訳語句のサンスクリット語上の原義などを吟味しながら、法華経各品の内容をさらっと概説。インドにおける往時の習俗風習や法華経の成立過程などにも鋭い視線を投げかけているところは、さすがは碩学という感じですが、読むのはけっこうたいへんでした。いずれにしても、法華経の本質的なメッセージは何なのか、kkには依然としてわかりません。悟りは遙か彼方。2020/08/23
Aminadab
12
『お経の話』『外国語の学び方』に続いて読んでみた。親本は1977年刊、最後の著作。梵語の写本複数と漢訳を参照しながら再話し、随所で語注や補足説明を加える形式。話題は成立論にも及び、心臓部は見宝塔品―従地涌出品―如来寿量品(歴史的仏陀は仮相にすぎず実体は永遠と説く)だが、それ以外の部分も同じくらい古い。「授記」(信者にあなたは来世で成仏すると生前に保証してあげる)という反則技を使うために他教派から非難攻撃された教派の説教集として、各部分が並行して成立したとする。『お経の話』を先に読んでおくのがよい。2021/03/10
takeapple
9
田中智学、宮沢賢治、北一輝と法華経に魅せられた人々は多い。創価学会をはじめ日蓮正宗系の団体も多いし、現代日本に結構な影響を与えている。でも法華経とはどんなものか詳しくは知らなかったので読んでみた。著者は東大で仏教思想を学び、九州大や東洋大で研究を深めた人だから特定の宗派の解釈ではないものだろうと思っていたが、予想に違わず、サンスクリット語原典、漢訳、和訳の様々な異本をあげ、法華経の簡単な解説と易しい現代語訳が読める。今度は、様々な解釈を読んでみたい。2016/03/13
舟江
6
「アラカンたちは自分の悟りをひらいただけで満足し、この世の生命が終れば完全に消滅してしまう」という。この様な独善的な考え方では、世界平和は訪れない。よって釈迦のお経とはとても思えない。2017/09/25
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