内容説明
音楽は人類史上いかに変遷してきたか。我々の音楽的感性の母胎である日本や東洋諸国の音楽の様相を探究し、その系譜と本質とを明らかにすること抜きには、西洋音楽の歴史を学ぶことはできないのではないか。本書はその問題意識に立って、縄文時代の楽器の考察から始まって、日本を軸に東洋・西洋音楽史を共時的に比較する。現代の世界音楽を非西欧音楽と西洋古典音楽が融合した音として描き出す。傑出した音楽的知性が果たし得た画期的試み。実作と理論活動のエッセンスを凝縮した力作。
目次
外来音楽と日本人
音楽文化の深層を探る
祭祀の音楽
制度化と学習
芸術音楽の胎動期
諸国を行脚する音楽
ルネサンス
キリシタン音楽
東と西のバロック音楽
古典派=ロマン派
両大戦の状況
第二次大戦後の作曲界
第二次大戦後の演奏界
未来の展望
著者等紹介
柴田南雄[シバタミナオ]
1916‐1996年。作曲家・音楽学者。東京生まれ。1939年東京大学理学部卒業。43年同文学部卒業。東京芸術大学、放送大学などで教鞭をとる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れぽれろ
4
日本を中心に古代から現代まで年代別に音楽史を俯瞰する本。記述は日本が中心、西洋については日本と比較する形で登場します。いわゆる西洋クラシック音楽と現代のポピュラー音楽以外の全容について概略を知るのに手ごろな本。日本の他国(中国・西洋)からの受容・定着サイクルについての指摘、日本と西洋の音楽の同時代性(17世紀の音楽の豊饒さ等)についての指摘、20世紀中盤の現代音楽の作曲家と演奏家の関連性についての指摘、主要な芸術のサイクル(建築から舞踏へ至る)の傾向についての指摘など、巨視的で興味深い記述に溢れています。2016/01/17
寛理
0
いい本でしたね。これくらいのスケールで物事を見れると気持ちが良い。特に、「雅楽寮」と「音楽取調掛」をパラレルに語るところは痺れました。2021/07/09
tnk
0
近代化における音楽取調掛を、律令化における雅楽寮と比べて小規模と評する視野の広さは面白い。 ただ、解説にある通り、先史考古学に関する記述は今から見れば間違いだらけ。2019/08/08