岩波現代文庫
本の神話学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 283,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006003050
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0110

内容説明

山口昌男という真に独創的な思想家の最初の記念碑的作品であり、山口ワールドへの恰好の入門書。書物に示される人間の知性の誕生と変転、豊かな運動の軌跡を神話学的な関係性の織物として再発見し、高次の思想的共鳴関係において連関する書物群や人物群を思い入れたっぷりに描きだす。快活な知を自らのものとするための技法をも明示する博覧強記の神話的一冊。

目次

二十世紀後半の知的起源(思想史としての学問史;ピーター・ゲイの『ワイマール文化』;精神史の中のワールブルク文庫)
ユダヤ人の知的熱情(ユダヤ人の知的環境;構造とかたち;知の存在形式としての亡命;受難と知的熱情)
モーツァルトと「第三世界」(モーツァルトの世紀;二十世紀オペラのアルケオロジー;音楽的思考;現象学的モーツァルトと「第三世界」)
「社会科学」としての芸能(政治とその分身;政治の論理と芸能の論理;シェイクスピア劇における芸能の論理;見世物小屋としての世界)
もう一つのルネサンス(蒐集家の使命;世界の本とルネサンス;ルネサンスと本の世界;カバラの伝統―ゲーテ、フロイト、ボルヘス;知の越境者)
補遺 物語作者たち

著者等紹介

山口昌男[ヤマグチマサオ]
1931‐2013年。東京大学文学部国史学科卒業後、東京都立大学大学院で文化人類学を専攻。東京外国語大学、静岡県立大学、札幌大学の教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

masabi

18
【要旨】神話学的関係性を元に共通する思想を軸とした書物群や人物群を描き出す。【感想】耳馴れないオペラや芸術その他筆者の有する広範な知に呑まれた。様々な書物や人物から共通するものを引き出し、思いもよらない風景を読者に示すのは圧巻だ。2016/12/10

NICK

11
「学のこと、知のことで悩める人は山口昌男の『本の神話学』のひと晩読破を勧める」と高山宏が言っている。これをひと晩で読めたら相当な精神的タフガイだろう。凡人たる自分は知の濁流に押し流されないようにするのが精一杯だった。実証的な史的記述というのは確かに必要かつ重要ではあっても近視眼的になりがちだ。この本ではジャンルを飛び越えた文化全体を同時代現象として捉え、知の領域を広く捉えようとする。シェイクスピアが民俗学などを通して68年の大学紛争に接続される驚き(=快楽)! ある「知」には必ず大きな水脈が潜んでいるのだ2015/04/20

anarchy_in_oita

6
博覧強記という言葉がここまで相応しい本はなかなかお目にかかれないだろう。20世期におけるいくつかの卓越した知性について、その成果を表層的に輸入するのではなく、いかにしてその知的生産を「根こそぎ」移植するか。山口は数々の書物の断片の中にそれぞれの知が生み出された文化的背景・精神的風土を見出し、系譜学的に記述していく。ここまで情報量が膨大だと話の筋を追うだけで一苦労である…しかし無数の引用が折り重なり、互いの対応を示していく中に、見えざる知的伝統を浮かび上がらせるその手法は圧巻であった。2020/03/14

hiyu

5
幅広いというありきたりな感想であるが、自分には到底思いつかない、考え付かない境地があった。ルネサンスへの言及が自分にはより新鮮であった。2023/06/09

石臼

3
優れた知見や思想に出会った時、それにただ感心するか、それとも嫉妬するかが分かれ目となる。嫉妬して、「どうして自分には思いつかず、この人には思いついたのか」を考えるという行為の実践がこの本だ。2014/05/06

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