出版社内容情報
日中対立が激化するのはなぜか.メディア報道にはどこに問題点があるか.注目すべきはアメリカが曖昧な姿勢をとり続けていること.日本外交がそれを黙認している限り,状況は打開できない.「固有の領土」論や国有化では解決できない論点とは何か.外交史の権威が領土問題全体を視野に入れ,「尖閣問題」の真の解決を提言する注目の書き下ろし.岩波現代文庫オリジナル版
内容説明
尖閣諸島問題についてのメディア報道には重大な欠落がある。日中両国の主張を歴史的にどう評価すべきなのか。最も注目すべきは、アメリカが曖昧な姿勢を取り続けていること。アメリカの戦略を解明する点で本書は独自性を持っている。国有化では解決できず、「固有の領土」論が説得力を欠く理由も明らかにする。さらに「北方領土」や竹島問題の解決策も踏まえ、日本外交を転換することで「尖閣問題」を打開する道筋を指し示す渾身の書き下ろし。
目次
序章 「領土問題」の歴史的構図
第1章 忘れられた島々
第2章 米国の「あいまい」戦略
第3章 「尖閣購入」問題の陥穽
第4章 領土問題の「戦略的解決」を
第5章 「無益な試み」を越えて
第6章 日本外交の「第三の道」を求めて
著者等紹介
豊下楢彦[トヨシタナラヒコ]
1945年兵庫県生まれ。京都大学法学部卒業。現在、関西学院大学法学部教授。専攻=国際政治論・外交史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
51
2013.06.05(つづき)豊下楢彦著。 2013.06.01 ◎米国固有の領土?? 豊下寄稿(2012.05.10) 石原が三島を都として購入の方針。 石原は、魚釣島、北小島、南小島の3島を挙げている。 同じ個人所有の久場島には触れていない。 国有地の大正島と同じく米軍の管理下に久場島はあるからである。 海上保安本部公式文書によればこれら2島は「射爆撃場」として米軍に提供され、「米軍の許可」なしに日本人は立ち入れない区域になっている。 2013/06/05
i-miya
46
2013.06.13(つづき)豊下楢彦著。 2013.06.09 1.「領土認識」の誕生。 ◎日本領への編入。 尖閣諸島-+魚釣島、+久場島、+大正島、+北小島、+南小島。この大小5つの島と三つの岩礁からなる総面積6平方キロmの島々である。 +沖縄本島まで420km、+石垣島へ170km、+台湾へ170km、中国大陸へ330km。 +日本大学、浦野起名央名誉教授『尖閣諸島・琉球、中国・日中国際関係史(分析・資料・文献)』(増補版・三和書籍、2005) 2013/06/13
i-miya
44
2013.05.21(初著者・初読)豊下楢彦著。 2013.05.20 (カバー)メディア報道で抜けているところ。 日中の主張は歴史的にどうなのか。 アメリカのあいまいな姿勢は何なのか。 「国有化」「固有の領土」 論の是非。 北方問題、竹島問題、打開の道筋。 (豊下楢彦) 大学の授業は、トゥキュディデス『歴史』の紹介から始まる。 古代ギリシャの歴史家。 BC5C、デロス同盟とペロポネソス同盟。 アテナイとスパルタの間の戦争、ペロポネソス戦争。 2013/05/21
i-miya
41
2013.05.24(つづき)豊下楢彦著。 2013.05.22 アテナイにすれば、スパルタが強大化しており、恐怖を感じ、軍事力強化を図った。 ジレンマ=「安全保障のジレンマ」。 陸のスパルタ VS 海のアテナイ。 (略史) 1879(M12)、琉球潘廃止し、沖縄県設置。 1895(M28)01.14、閣議決定、尖閣諸島を沖縄県の所轄とし、標杭の設置を決定(領土への編入)。 1896(M29)、日本政府、魚釣島、北小島、南小島、久場島の四島を古賀辰四郎氏に30年間無償貸与。 2013/05/24
i-miya
39
2013.06.22(つづき)豊下楢彦著。 2013.06.19 1968.10-11、国連アジア極東経済委員会(ECAFE)等の海底調査。 豊富な石油埋蔵可能性、明らかになる。 1969.05、正式報告書。 台湾、対応。 第2章、アメリカの「曖昧な」戦略。 ◎「田中発言」の背景。 「棚上げ」とは。 1979.01、森山欽司運輸大臣、魚釣島ヘリポート建設問題。 当時、園田直外相、「静かに現在の有効支配を続けることが実益のためにいい。日本の実益に適っている」 2013/06/22