内容説明
見た目はかなり違っても、パンとクラッカーのレシピの違いは大さじ一杯のイーストだけ。似たところなど何ひとつなさそうな言語どうしも、実はレシピがほんの一カ所違うだけかもしれない。言語学は、日本語や英語、アメリカ先住民の言語など、あらゆる言語の多様性の本質に迫りつつある。多様性と普遍性の矛盾を解くカギはパラメータだ。
目次
１ コード・トーカーの逆説
２ アトムの発見
３ サンプルとレシピ
４ 多総合的言語の焼き方
５ 合金と化合物
６ 言語の周期表へ向けて
７ なぜパラメータ？
著者等紹介
ベイカー，マーク・Ｃ．［ベイカー，マークＣ．］［Ｂａｋｅｒ，Ｍａｒｋ Ｃ．］
言語学者。１９８５年、マサチューセッツ工科大学（ＭＩＴ）大学院にてＰｈ．Ｄ．（言語学）を取得。ＭＩＴ、マギル大学を経て、現在、ラトガーズ大学言語学科・認知科学センター教授。アフリカ諸言語・アメリカ先住民諸言語の文法を専門とする。これまでに、モホーク語、エド語、チチェワ語、ウィネベーゴ語、セソト語のほか、スペイン語やウルドゥー語などを研究してきた
郡司隆男［グンジタカオ］
言語学者。神戸松蔭女子学院大学学長（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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zirou1984
4
生成文法絡みの本は得てして難解なのが多いのが、「イーストを大さじ一杯加えるだけで、パンのレシピはクラッカーになる」といった身近な例や比較例として日本語が多用されることもあり、この手の中では読み易いと言える本。言語の最小要素は単語ではなく「パラメータ」と呼ばれる文法規則の要素であり、それを元素の周期表の様に法則性を持った上で提示できれば言語の多様性とそのパターンを網羅できるという主張はかなり興味深く、またパラメータ分岐の深さと幼児期における文法能力の取得時期が対応しているという事実には驚かさせられた。2012/10/16
Manabu Miyoshi
3
すっごい分かりやすいパラメーター理論（生成文法）の入門書。化学と比較しながら言語学の軌跡と展望が描かれている。一見すると似ても似つかない言語同士が少数のパラメーターの差異として説明できるということが，数多くの実例を用いて論証されていく様は痛快。個人的には，主要部方向性パラメーターが日本語と英語を区別する重要な要因であるという発想が，僕が卒論で扱ったテーマに通じるということもあって，驚きであるとともにしっくりきた。これから新しい外国語の勉強をするときにもこの本の内容が役に立ちそうだ。2014/04/19
とーひこー
2
世界の言語はパラメーターによって構成されていると論じた本。内容が興味深いのは勿論、言語の構成をレシピや原子にたとえていてとても読みやすい。前半に日本語の例が多かったのもとっつきやすかった。しかしやはり知識・理解力が浅薄なために消化しきれなかった部分もあるので、また読みたい一冊。2011/04/22
Mark.jr
1
日本語や英語など世界には様々な言語が存在しますが、それらの言語に共通する要素は何か、また異なる部分はどこかを考察したのがこの本です。語句ではなく、文法に注目して解析を進めるため、本でも述べられている通り文系というよりも、ほとんど理系・プログラミングの世界観です。日本語・英語はもとよりナバホ語やモホーク語など相当マイナーな言語も登場し、かなりややこしい部分もありますが、個人的にはとても面白かったです。2018/10/24
しょ～や
1
言語について考えるとき、単語の意味ってことばかりで、文法のことを考えてなかったように思う。目から鱗ですわ。しかし、赤ん坊は実際のところどのようにして文法を身につけて、応用できるようになるんでしょうね。2016/07/08
