出版社内容情報
広い視野と独創性を持った「現代数学の父」は、いかにして誕生したのか。本書はヒルベルトの青年期から晩年までの生涯をいきいきと描きつつ、この巨人が成し遂げた数々の学問的業績についても解明した力作評伝。待望の文庫化。
内容説明
広い視野と独創性をもった「現代数学の父」はいかにして誕生したのか。本書はヒルベルトの青年期から晩年までを激動の時代とともに描きだす評伝。この巨人がなしとげた数多の学問的業績の意義と、同時代の数学者たちの挑戦についても言及した力作である。ヘルマン・ワイルの長大な解説も全文収録した待望の文庫版。
目次
青年時代
友人たち・教師たち
Ph・D
パリ
ゴルダンの問題
変貌
数論、ただそれのみ
テーブル、椅子それにビール・ジョッキ
諸問題
数学の将来
新世紀
第二の青春
熱情的な科学者生活
空間、時間そして数
友人たち、学生たち
物理学
戦争
数学の基礎
新体制
無限!
借りられた時間
論理学と自然認識
エクソダス
老齢
結語
著者等紹介
リード,C.[リード,C.][Reid,Constance]
作家。1918年、米国のミズーリ州に生まれる。数学者の生涯と学問的業績を描き、啓蒙的な数学読み物の作者としても著名
彌永健一[イヤナガケンイチ]
1939年生まれ。東京海洋大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
17
数学を学び直すことがなければ、この先の人生でこの本に出会うことは絶対になかったと思うし、数学を学び直すなかで、この本と出会ったのは絶対の必然だと思える一冊、そういう意味で僕にとっては大きな達成。現代数学の父ヒルベルトの伝記、濃厚濃密な事実が積み重ねられていく。19世紀から20世紀をまたにかけるドイツ生まれの数学者の生涯は、そのまま第三帝国の隆盛と重なり、後半生は時代の暗く空気が漂う。文体はいたって冷静なものだけど、人が生きた事実事実事実の並びを眺めるだけで、ここまで胸に迫るものはなかなか出会えないと思う。2016/02/29
黒い森会長
4
原本1970年刊。1972年訳本刊。20世紀前半、数学界を導いた数学者ヒルベルトの伝記。19世紀後半に生まれ、1943年ナチスドイツ、第2次大戦中に淋しく亡くなる。そして45年1月、奥さんのケーテの葬儀は、参列者もない。 1900年の会議で、23個の問題を提出できたのは、数年かけて、19世紀の整数論の状況をまとめ上げたのが大きいようだ。論文Zahlberichtである。やはり数学にとっては、整数論に尽きるようだ。21世紀の初めにクレイの7つの問題が出されたが、賞金額だけが有名になっていた。2023/04/03
まっちゃん2
3
信号処理をやってるとさけて通れないのはヒルベルト変換の概念の理解。これを思い付いたひとはどんな人かと、書店で目にして買ってしまった。物理出身なんで普通よりは数学やってるけど、それでも難しいというか話題についていけず流しよみですませた。残念ながらヒルベルト変換発見の経緯の話はなかった?読み落としただけかも。 ヒルベルトの言葉「物理学は物理学者には難しすぎる」が刺さる。そうなんです物理屋はそんなに数学が得意で好きとはかぎらんのです。大学学部以上で数学を専攻したかたでないとおすすめできない書。2020/03/28
tamioar
1
教育者として優秀過ぎると本人の天才性が霞んでしまうという例。
杏仁アセロラオリオン長門ヘクマティアル
1
まだまだページ数が残ってるのにこの業績を出しちゃって平気なの?と思いつつ、次にはまた凄い話が出てくるその繰り返し。そして最後は悲しい物語。暗涙を禁ずることを得ませんでした。2014/03/09
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