出版社内容情報
カントからマルクスを読み、マルクスからカントを読むヘーゲル批判の新たな試み。移動と視差による批評(トランスクリティーク)で、社会主義の倫理的根源を解明。来るべき社会への実践を構想する。英語版に基づき改訂。
内容説明
カントからマルクスを読み、マルクスからカントを読む。移動と視差による批評(トランスクリティーク)によって、社会主義の倫理的=経済的基礎を解明し、資本=ネーション=ステートを超えた社会への実践を構想する。英語版に基づいて改訂した著者の主著の決定版。
目次
イントロダクション―トランスクリティークとは何か
第1部 カント(カント的転回;綜合的判断の問題;Transcritique)
第2部 マルクス(移動と批判;綜合の危機;価値形態と剰余価値;トランスクリティカルな対抗運動)
著者等紹介
柄谷行人[カラタニコウジン]
1941年生まれ。評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
15
柄谷行人による革命の難しさについての本。 本書は、ヘーゲル批判がベースにあり、資本主義とは別の可能性を語る。 柄谷の問題意識はよくわかるのだが、そこから導き出すアソシエーションの考えが、なんかぼやっとしてる。 それは、世界同時革命以上に難しいだろうから、社会民主主義の、欺瞞のほうが、マシなのではないだろうか。 2025/09/05
浅香山三郎
11
本書の言はば概要版にあたる岩波新書の『世界共和国ヘ』を先に読んだので、何とか読み通すも、カントは馴染みがないためか難解。逆にマルクスについての論考は、面白く読む。次の『世界史の構造』も積ん読ではあるが、読んてみたいと思ふ。2020/07/11
Z
11
柄谷行人の哲学の集大成と思う。結論は話が大きすぎるのでカッコに入れるにしてもカントから取り出す思考の方法論かつそれを敷衍する氏の思考の展開は圧倒的。一部でカント二部でマルクスについて吟味する。カントは批判書で感性と悟性を媒介する図式を考えた。厳密な数学的な図(三角形や円)はこの世に存在しないが人間はそれを認識できる。個と一般を媒介するものとして図式を考えた。これはロマン派やヘーゲルなどに見られる種の論理とは異なる。種の論理とは類概念の抽象性に対し個人と類を結ぶ種を重視する思想である。例 2018/04/15
柳田
11
2016年度、H大学にいたときに受けた授業のテキストだった。先生は柄谷行人の弟子だったらしく、ゴシップ満載だった。もっとも哲学科の専門科目ではなく、私含めて学生は哲学の知識がなかったから、中身を読み進めるのではなく序文の最初の30ページくらいをいったりきたりしつつ哲学史を総ざらいしていた。通年で30回の講義で、シラバスは全部読み切る予定で書いてあったのだが… 一応なんとか通読して、『世界史の構造』も読んだのだが、さっぱりだった。しかし、哲学・思想の世界にグワーッと惹き込まれた、講義とともに思い出深い1冊。2018/03/04
tharaud
9
とても難しい本。『世界史の構造』『力と交換様式』から遡って読んでいるが、カントから始めているからか、一番骨が折れた。哲学史の見取り図がないときちんと理解はできない。ほとんどは、最終章「トランスクリティカルな対抗運動」のための理論立てであり、一つ一つの話題はわかるものも多いが、全体的な論理の筋道が理解できたかというと疑問だ。まだまだ学ぶ必要を感じた一冊。2025/09/28