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岩波現代文庫
日本型「教養」の運命―歴史社会学的考察

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  • サイズ 文庫判/ページ数 238,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006002312
  • NDC分類 210.6
  • Cコード C0136

出版社内容情報

かつて教養主義は人々をとらえたが、今は往時の輝きを失った。教養はなぜ衰退したか。本書は、教養が輝いていた時代と社会を斬新な角度から省察し、未来への指針を見出す。知と文化の未来を構想するための必読書。

内容説明

かつて教養主義は人々をとらえたにもかかわらず、歴史的に衰退したのはなぜだろうか。本書は近代日本知識社会のインフラであった「教養」の動態を歴史社会学的アプローチで究明し、「教養」が輝いていた時代の意味を問う。知と文化の未来を考察するためにいま何が求められているか。現代文庫化に際して、現代日本の教養を考察する書き下ろし原稿を付す。

目次

第1章 近代日本における教養主義の成立―修養主義との関連から
第2章 学歴エリート文化としての教養主義の展開
第3章 近代日本における「教養」の帰結
第4章 企業経営者文化としての「修養」と「教養」―近代日本における展開から
第5章 現代日本の教養

著者等紹介

筒井清忠[ツツイキヨタダ]
1948年大分県生まれ。京都大学文学部卒業。同大学院博士課程修了。日本近現代史・歴史社会学・日本文化論・奈良女子大学助教授、京都大学教授等を経て、帝京大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

中年サラリーマン

18
明治維新。人材不足であり能力の高いものから引っ張られる。それに伴う立身出世ブーム。しかし、時代もおちつき人材がダブついてくる。成功者、落伍者、悩める人。そこに修養主義が生まれてくる。本書は教養主義の興りと衰退について論じた面白い本。現代の教養衰退が大衆の高等教育への侵攻であると切り口は大変面白い。2014/03/26

ネムル

10
1995年に描かれた本だけに、教養主義について知ろうとするなら竹内洋の著作のが参考になるし、ラストの教養の復権への提言もサブカルやカルチュラルスタディーズへの意識の薄いおじさんの意見に感じてしまう(まあ、時代が時代なだけに仕方ないのだろうが)。ということを踏まえた14年越し、2009年に描かれたあとがきは隔世の感があって少し面白い。2018/03/16

さえきかずひこ

6
明治期の修養という考え方から、教育の意も含む教養の考え方が生まれ、それらはcultureやビルドゥングといった外来語のニュアンスを強く帯びつつ、エリート学生層に深い影響を及ぼしていった。新渡戸稲造が大フィーチュアされていたのも印象的。先の大戦期にも、世の中の軍事色とは裏腹に、あるいは、だからこそなのか教養主義的読書態度は失われていなかったという事実は知らなかったので、とても興味深く感じ、また勉強になった。2016/07/12

カラス

4
再読になるが面白かった。「教養とは何か」ではなくて、教養はどんなあり方をしたのかを問う、近代日本の教養史。教養主義の成立から、修養主義との関係、そしてその衰微まで。教養の歴史を語った本というのは珍しいのでやはり面白い。しかし、「文化」を教養文化と大衆文化の二項対立だけで扱ったり、著者の教養観がよくわからなかったりと、不満もある。特に大衆文化を教養文化の入り口として使おうという発想はまさに、著者が警戒する教養主義の権威主義的態度ではなかろうか?2019/07/12

ぽん教授(非実在系)

4
日本における教養主義論の嚆矢となった記念碑的著作である。教養主義が修養主義から出現し、現代ではサラリーマンのビジネス本に修養主義がビルトインされている、という来歴を、大正~昭和の教養主義黄金期を軸に説明していく。2015/06/07

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