岩波現代文庫
新版 ディコンストラクション〈1〉 (新版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 269p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006002107
  • NDC分類 116.9
  • Cコード C0111

内容説明

構造主義から記号論、そしてディコンストラクション(脱構築)へと現代思想はめまぐるしく展開してきた。しかし、いったい何をディコンストラクト(解体)するのか。本書では米国の代表的文学理論家が、ニーチェ、ハイデッガー、デリダという系譜から問題を捉えなおし、その主題へと迫っていく。テクストの理論、読書行為論、フェミニズム論等を縦横に駆使することによって、難解といわれる思想・哲学の明快な配置図を描き出した名著。

目次

第1章 読者、そして読むこと(新たな可能性;女として読むこと;読むことの物語)
第2章 ディコンストラクション(脱構築)(書くこととロゴス中心主義;意味と反復可能性;接ぎ木)

著者等紹介

カラー,ジョナサン[カラー,ジョナサン][Culler,Jonathan]
1944年生まれ。コーネル大学教授。英文学・比較文学。ハーヴァード、オックスフォードの両大学に学び、ケンブリッジ大学特別研究員を経て現職

富山太佳夫[トミヤマタカオ]
青山学院大学文学部教授。英文学

折島正司[オリシママサシ]
青山学院大学文学部教授。アメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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またの名

14
前置きが長すぎて本題の脱構築に入るまでにフェミニズムや読書論が延々続くけれど、既にこれがなかなか興味深く明快な議論でとても良質。まえがきと序説に加えて序文まであるのでどこまで遅延させる気なのかとイラつかされる懸念も、そこに記されてる「そもそも理論とは、文学とは」についての考察が面白いので余計な不安。起源(オリジナル)は常に既に痕跡や代補(二次物)に先立たれているという基本図式をしっかり維持し、形而上学に巣食う現前>代理、分析哲学が固執する真面目な発話>不真面目な発話といった二項対立に斬り込む脱構築の解説。2015/05/08

NICK

7
再読。デリダの復習に読んでみた。脱構築とは単なる批判ではない。「ずらすこと」がポイントだ。0か1かではなく、むしろ0と1を対立させるイデオロギー(?)を内部崩壊(?)させること。テクストがテクスト自身によって「ずらされ」ていくというのは余程の精読の作業がなければできないことで、デリダが言語学界隈でも名前が挙げられるらしいというのは、 それほどソシュールの読みが深いからか。この本の約半分がフィッシュなどの読書論で占められているのは、脱構築における読みの態度があるからだろう。2011/12/04

♨️

2
一巻では、哲学史ではなく文学理論の側から「脱構築」という考え方が注目されるまでの展開が論じられ、そこで注目される脱構築の、まずは(反)哲学的な側面が、この上なく明晰に確認されている。作品を自立的な対象とみなして論じ、作品ないし作者を評価する新批評に対して、理論は作品を可能にする条件(意味はどのように産出されるようになるか)に関心を持つ(そして嫌われる笑)。その中で意味産出の場としての読者が注目され、読者論が生まれる。2022/08/12

2
何故2はふつうに売っているのに1だけここ数年品切れ状態が続いているのか、内幕を知っている方がいましたら連絡お待ちしてます あと同じく岩波から文庫で上巻だけが出ているイェスペルセンの言語についても……2019/10/09

なべさん

1
本書では脱構築の哲学上の立場が解説される。デリダの言葉を参考に無理矢理まとめると、脱構築とは、哲学が用いる二項対立に潜む暴力的な階層秩序を暴き、逆転させるものと言える。しかしその目的は二項対立を破壊することでも、より高次の理論を生み出そうとするものでもなく、それらを再び位置付けることにある。例えばオースティンの発話行為理論の読解から、規範という概念に内在する排除の論理が露わになる。脱構築は新たな真理を生み出さないが、理論的な探求を捨て去ることもない。そうした探求は前提や制度や実践の変化に繋がるからである。2020/04/22

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