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岩波現代文庫
パリの聖月曜日―19世紀都市騒乱の舞台裏

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  • サイズ 文庫判/ページ数 325,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006001919
  • NDC分類 235.065
  • Cコード C0122

内容説明

一九世紀初頭のパリで繰り返された民衆騒乱の背景には、何があったのか。労働者が日曜日ばかりか月曜日も痛飲して休みにしてしまう「聖月曜日」の習慣、路上で物売りをして生計をたてる人びと、コレラ流行の際に流れた毒薬散布の噂、居酒屋で築かれる仲間同士の絆…。近代初めの都市の日常生活世界を生き生きと描き出した歴史叙述の傑作。

目次

1 パリを囲む門と壁
2 膨張する都市の舞台裏
3 水の施設の光と影
4 コレラの恐怖
5 しるしづけられる貧民
6 出稼ぎ石工マルタン・ナドの回想より
7 路上の生活者たち
8 居酒屋・ゴゲット・シャンソニエ
9 都市の騒乱としてのストライキ

著者等紹介

喜安朗[キヤスアキラ]
1931年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修了。日本女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

14
パリ歴史本の中で頂点ではないか。90年代の文学研究者によるパリ本はこれを下敷きにしているから、これを読んでおけば19世紀前半は事足りる。量に応じて課せられた入市税により、安いワインだと8割が税金ということに。市外に「清い空気を求めて」週末出かける労働者は、その実、徴税人の壁という束縛から抜け出し、安い関の酒場で楽しむ。コレラの地区ごとの流行は、ただ貧困率のみと相関関係があり、シテ島など中心部(当時はスラム化)と東部の貧困街で深刻。水道の普及はパリの汚水処理能力をパンクさせる。日曜は家族サービス、月曜サボり2020/05/03

松本直哉

14
日曜日だけでなく月曜日も仕事を休んで仲間と痛飲する、19世紀パリの労働者の「聖月曜日」の習慣は、怠業というよりむしろ、ワーク・アンド・ライフ・バランスを自立的・自発的に制御しようとする態度であり、雇い主や資本家にとっては不都合であるばかりか不穏でさえある。机上の空論でなく、月曜日の酒場での労働者の交歓のなかから、共和主義や社会主義が醸成されて、やがて二月革命やパリ・コミューンに結びつく。ストライキが頻発し、バカンスを謳歌する現在のフランス民衆の、労働よりも生活を重視する態度の淵源がここにある。2014/07/03

Hepatica nobilis

11
「聖月曜日」に労働者たちが城壁外の関の酒場に繰り出す、パリが人口増大に付いていけず飲み水の供給ができない、その結果の今からは信じられない不潔の実態、結果のコレラの流行、さらには七月、二月の革命につながる労働者たちの騒擾。上下水道や教育といった近代都市のシステムが統治者側の管理の手法として発展したという視点で語られる。マルタン・ナドの回想など挿話も多くて、19世紀の市民生活誌としても興味深く読めた。2012/10/27

kana0202

0
フーコーの生権力が頭にちらつきながら読んだ2020/05/02

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