内容説明
神話、古事記から物語文学、王朝和歌に至る古代文学の全体像の把握はいかにして可能か。著者は日本古代文学史を「神話と叙事詩の時代」「抒情詩の時代」「物語文学の時代」に分け、古代文学の誕生、展開、没落の歴史的必然の解明を試みる。古代文学史を全体として理解するための、画期的問題提起を行った労作の加筆決定版。
目次
序 古典とは何か
第1章 神話と叙事詩の時代(前史;英雄時代;古事記;日本紀、祝詞、風土記;記紀歌謡)
第2章 抒情詩の時代(抒情詩の発生;万葉集;大陸文化と日本文化―懐風藻から古今集まで)
第3章 物語文学の時代(散文の成立;初期の物語;女房社会 ほか)
著者等紹介
西郷信綱[サイゴウノブツナ]
1916年大分県生まれ。国文学者。39年東大文学部国文学科卒業。49‐71年横浜市立大学教授。60‐63年ロンドン大学講師。社会人類学、現象学の方法をとりいれ、日本古代文学の画期的な読み方を提示している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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袖崎いたる
5
学生時代に日本古代文学史研究の泰斗的な人物が、学生自分に読み耽ったものよと講義中にこの本のことを話していて、ほへぇと思ったっきりだったが、自分が日本古代文学史について書こうとしたら立ちはだかってきたよね。かなり面白い。古代人が大陸の影響により都市化を進めてその古代性を脱却していき、やまとうたを発明してみたところ、万葉集時代にはあった自然への感受性がその都市化によって進んだ個人化において失われていく。そのやまとうたにせよ、からうたの影響から出発し、それを教養化して後の産物という。ここらへんマジ面白い。2025/06/30




