出版社内容情報
今日韓国人は世界各地で文化摩擦を経験しており,背景には異質な文化を持つ人々との対抗を教える教育やメディアの問題がある.ロス暴動に関する韓国内の論調や反日論を分析し,韓国=被害者という自己認識の再検討を促す.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
8
在日韓国人論で有名な、鄭大均氏の初期の著作。日本を強く憎悪しながら、一方で頼ることもある韓国の複雑なナショナリズムを、様々な面から考察する。「差異よりも共通項を」と主張する著者の言葉はなるほど確かにその通りかもしれない。また、韓国という国が言語の面で他国と切り離されており、ナショナリズムが独善に陥り勝ちという指摘もうなずける。日本は国内に民族間の問題が少ないが、それでも「在日韓国人」という存在がある。しかし、韓国にはそういった問題は皆無に近い。ナショナリズムにブレーキが効かなくなるのも最もだろう。2018/12/19
肉欲棒太郎
1
韓国において国家への帰属意識がエリート層だけでなく庶民層にまで共有されるようになったのは、60年代にクーデターで軍事独裁政権を樹立した朴正煕政権以降であるという。民主化後の韓国では否定的なものとして語られることが多い朴正煕時代だが、本書の言葉を借りれば「今日生きているすべての韓国人は朴正煕の時代に韓国にもたらされた革命の産物であるといってよい」とのこと。朴正煕の著書『国家と革命と私』は、「あらゆる悪の倉庫のようなわが歴史はむしろ燃やしてしかるべきである」と、レーニンも顔負けのラディカルさである。2019/01/01
lovekorea
0
解放後の朝鮮半島の様子や、日本文化が取捨選択を受けながら普及して行く様子など、新しい知識を得る上で有用でした。日本と韓国は、幸か不幸かふかーい因縁があるようですね( ̄ー ̄)2013/11/10
なおや
0
講義の参考文献。韓国社会の同質性ゆえに排他的ナショナリズムに批判的立場をとるマイノリティが少ない。ナショナリストやレイシストが跋扈する社会。そんな中、在日韓国人が韓国社会に対し、批判的立場をとりながら話を展開する。その点で、在日韓国人はいわば日韓関係を良好にするため架け橋になるのではないかと感じた。2012/01/28