出版社内容情報
日本の風景は最優秀であると説く『日本風景論』は日清戦争のさなかに刊行され,ベストセラーとなる.「国粋保存旨義」を唱えた志賀重昂のナショナリズムとは何であったのか.近代日本の精神史を逆照射する書下ろし.
内容説明
日本の風景は世界でも最優秀であると説いた『日本風景論』は、日清戦争のさなかに刊行され、ベストセラーとなる。漢詩文を基盤とする独特の文学性が地理学と融合したこの作品は、当時どのように読まれたのか。「国粋保存旨義」を主張した志賀重昂のナショナリズムとは。近代日本の精神史を風景享受から考察する書下ろし。
目次
はじめに 日本ラインをめぐって
第1章 日清戦争、大日本精神、愛国心―同時代の人びとはどう読んだか(一)
第2章 科学と文学の融合―同時代の人びとはどう読んだか(二)
第3章 日本海岸の日本と太平洋岸の日本―志賀重昂の地理学(一)
第4章 南日本と北日本―志賀重昂の地理学(二)
第5章 「封建」と「郡県」のはざまで―地理学的な回顧(一)
第6章 もうひとつの地理学内村鑑三『地人論』―地理学的な回顧(二)
第7章 『日本風景論』における文学―漢文くずれの散文と風景
第8章 風景享受の美学と作法―跌宕の変容と山水癖の残影
第9章 ナショナリズムと楽しい名士―日本ラインはどのように生まれたか
おわりに 登山奨励について
著者等紹介
大室幹雄[オオムロミキオ]
1937年東京に生まれ、早稲田大学・東京大学に学ぶ。専攻は歴史人類学。千葉大学教授
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