出版社内容情報
1970年頃から,従来の精神病理学では解きがたい無気力な現象が大学生に現われる.豊かさと高学歴を背景に自立への不安をもつ青年期の問題を豊富な臨床例で考察.「ひきこもり」論に多くの示唆を与えた先駆的著作.
内容説明
一九七〇年前後、「退却」「逃避」と表現できる無気力な現象が大学生に現れはじめた。著者は、従来の精神病理学では解きがたい現象を考察しながら、自立への不安をもつ当時の青年像を浮かび上がらせた。豊かさと高学歴がもたらす新しい症候を論じた本書は、その後の「ひきこもり」論に多くの示唆をあたえた先駆的著作である。
目次
第1部 青年の自立と個性化をめぐって
アイデンティティと現代
現代病としての境界例
大学生と対人恐怖症
人みしり―正視(視線)恐怖症の臨床
大学生の精神衛生のために
キャンパスの精神病とノイローゼ
青年の自殺
現代の神経症―とくに神経症性アパシー(仮称)について
退却神経症withdrawal neurosisという新カテゴリーの提唱
アパシー・シンドロームapathy syndromeをめぐって
アパシーの病前性格
境界例の概念をめぐって―スプリットという防御機制についての一考案
無気力からの復路のために
著者等紹介
笠原嘉[カサハラヨミシ]
1928年生まれ。京都大学医学部卒業。名古屋大学名誉教授
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