岩波現代文庫<br> 黄禍物語

岩波現代文庫
黄禍物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 341,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006000240
  • NDC分類 316.8
  • Cコード C0136

出版社内容情報

黄色人種の勃興によって白色人種が禍害を蒙る-黄禍論は日清戦争後にドイツ皇帝ヴィルヘルム2世によって流布された.その受容と反論の膨大な言説を博引傍証し,近現代史の背後にうごめいていた人種闘争の影を検証する.山内昌之解説

内容説明

黄色人種の勃興によって白色人種が禍害を蒙る―黄禍論は日清戦争後にドイツ皇帝ヴィルヘルム二世によって流布された。日露戦争を経て、世界中で様々に受容され、反論される。その膨大な言説を博引旁証し、日本ファシズムや原爆投下の問題から戦後世界に至るまで、近現代史の背後でうごめいた人種闘争の影を徹底検証する。

目次

黄禍論前史
日本における人種理論の紹介とその批判
日露戦争と黄禍論
黄禍論と中国の反応
ジョン・チャイナマンのこと―あるいは著者の補注的弁明
黄禍と太平洋問題
人種論から見た日本ファシズム
黄禍―妄想から現実へ
太平洋戦争とレイシズムの組織化
戦後世界と黄禍論の変貌
シン中国と黄禍論
新たなる黄禍論のゆりかえし

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まえぞう

19
ドイツの皇帝ウイルヘルム二世が言及されることが多い黄禍論に様々な文献を引用しながら迫ります。引用部分が多すぎてかなり煩わしい印象があります。日露戦争に勝利した日本、その先にある中国への警戒心から白人社会対黄色人種という対立関係を想定して唱えられたものへの反発と、同じアジア人の中で欧米帝国主義の側にたってアジアへ進出した日本がもつ矛盾が一つの重要な観点だと思いました。孫文の大アジア主義の主張が想起されます。2023/06/08

oDaDa

10
黄禍とは、アジア人=黄色人種たる日本人や中国人が、欧米人=白色人種に禍いを齎すという一種の人種差別的な思想。日露戦争でロシアを日本が破って以降、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世などが盛んに喧伝した。アメリカの排日移民制限法なども黄禍の一と橋川は指摘している。読んでの我が立場としては、黄禍とは、我ら日本人からすれば、白禍≒帝国主義に対する揺り返しではないかというアナトール・フランスの立場に賛同する。ただ、福沢諭吉の脱亜論のように、黄にも関わらず、白に成りたがった日本人は、中国に対して黄禍に仕立て上げることになる。2014/12/06

politics

5
古くはフン族や蒙古などの古代・中世からウイルヘルム皇帝、さらには第二戦後までの「黄禍」を物語的に検証した一冊。扱われている内容が広範囲に渡るため要約は難しいが、西洋における黄禍論とその土台となる人種思想、日本・中国のそれが過不足なく紹介されている。また戦前前後の日本における人種意識の変化として、遠藤周作の作品が紹介され、いかに戦争が多くの日本人に意識変化を促したかが分かる。気になる点は橋川の中国観だ。新中国への期待もあろうが楽観的ではと感じられ、現代中国を見たら氏はどのような感想を洩らしたのだろうか。2023/11/18

tkm66

0
全集には入っているが、ご供養で①

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