出版社内容情報
中国は歴史教科書の検定など，日本の侵略に関わる問題に激しく反発する．著者は中国人の日本観とそれを規定する思考様式を分析し，日中が歴史の負の遺産から脱却する道を探る．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
18
日中関係の通史ではなく１９８０年代に絞った著作なので、思っていたものとは少し違った。それでも、第三者たるアメリカ人の客観的な視点を活かした緻密な分析で読ませる内容。時代状況としては、アジア随一の経済・技術大国として君臨する日本と、鄧小平の下で改革開放に邁進する中国。また、ソ連というファクターも意外に存在感が大きい。日中米ソ四者の合従連衡が様々な外交コンビネーションを生み出し、日中が対ソで手を結ぶ場面もあり得た。これを受けて、中国の日本認識も親日or反日の二択にとどまらない複雑な様相を呈している。2025/08/10
ねぎとろ
2
80年代の日中政治・経済史といったところか。慎重で手堅い本。お互いが相手を一枚岩の存在として認識している点、政治家同士の個人的な関係で問題を解決しようとする点など、日中の立場は現在大幅に変化してきているが、認識自体はこの分析から大して変化していないのではないか。2012/11/15
