出版社内容情報
著者は戦後社会科学の巨峰.本書は主としてマルクスとウェーバーの理論に依拠して,共同体の本質,成立と解体の諸条件を総体として理論的に見通し,世界史上の共同体の諸形態を類型化した記念碑的著作である.姜尚中解説.
1 ~ 1件/全1件
- 評価
良本を読もう本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
42
本文庫版ではなく、おそらく東大のテキストとして売られていたパンフレット版(岩波書店、初版は1955年。1981年刷で1970年に改訂されている)の約40年ぶりの再読。大塚史学の古典といってもよく、マルクスの、特に『資本主義に先行する諸形態』をベースに、ヴェーバーの『経済史』などを絡ませながら、「アジア的」「古典古代的」(主に古代ローマ)「ゲルマン的」(ヨーロッパ中世)を史的唯物論的に概説する。まさに基礎理論なのだが、かなり単線的発展史観寄りの印象。すでにホブズボーム『共同体の経済構造』出版後の改訂なのに。2021/01/16
Bevel
3
土地がある。そこに人間が来ると、技術的蓄積が始まる。この二つの力によって、共同体の基礎単位はどんどん小さくなっていき、ますます私的所有が進む。複雑化する土地の分配と共同体同士の衝突。最終的には、かつて奴隷だった手工業者が、資本主義をぱっと起こしてしまう。と、まとめてみた。2011/07/09
MahirOrihaM
3
大塚久雄「共同体の基礎理論」で述べられる「共同体からの解放と個の自立」が50年後の今リアリティを持たないのは、「共同体」を農業生産における土地所有という視点でのみ定義したからか。当時の背景もあるし仕方ないが。2010/05/19
バイオ燃料
2
共同体の変遷、特に原始から封建の崩壊までを扱っている。自分の力量不足で読みづらさはあったが、共同体の内容自体は高校世界史で習うようなことが多く、イメージはしやすかった。ただ、マルクス主義に強く根差しているので、55年執筆の古さは感じる。また、共同体での家父長制は、平安時代まで母系制や妻問婚が存在したと言われる日本で、どのような説明がつくのか(勉強不足のため)疑問が残った。2018/11/10
aki
2
著名な経済史学者による「共同体の土地所有の発展段階」を説いた本。著者は政治学の丸山真男、法社会学の川島武宜と並ぶ、1950~60年代の東大の看板教授のひとり。岩波新書の2冊に比べると、(1950年代の著述ということもあり)全体的に古めかしい。「アジア的形態」「古典古代的形態」「ゲルマン的形態」という、発展段階論自体が、いまやうさんくさい代物だからね。マルキシズム全盛時代の著述だから、マルキシズムの影響が色濃い。戦後、長きにわたって、マルキシズムが社会科学一般の進歩を止めてしまった感があるよね。2014/02/16