出版社内容情報
議会制民主主義とは、選挙で有権者が代表者を選び、選ばれた者たちが審議・決定したことを政府が実行するシステム、つまり「みんなで決める政治」のこと。有効に機能させるには、投票への参加が重要になる。有権者として今、未来をより良いものにするには、どのように使いこなせばいいのか。その成立過程から見直し、提言する。
内容説明
議会制民主主義とは「みんなで決める政治」のこと。有効に機能させるには、投票への参加が重要になる。有権者として、未来をより良いものにするには、どのように使いこなせばいいのか。その成立過程から見直し、提言する。
目次
第1部 歴史から学ぶ議会制民主主義(生成;栄光と凋落;日本国憲法における議会制民主主義のメカニズム)
第2部 有権者の意思表明のツールとしての選挙制度(メンバーシップとしての選挙権;選挙制度を疑う)
第3部 議会制民主主義におけるアクター間の相互作用(有権者はどのように議員を選ぶのか;国会と内閣をめぐるルール;プラットフォームが壊れる)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コニコ@共楽
16
岩波ジュニア文庫は高校生を対象にしているが、大人でも知らないことをわかりやすく説明してくれる。なぜ選挙権年齢が18歳になったのか等は「日本国憲法の改正手続きに関する法律」と連動して引き下げられたものだそうだ。民法の成年年齢も2年後には18歳になるということだ。世界の趨勢では、92%が18歳の選挙権を導入しているという。また、投票率が90%を超えるというオーストラリアでは、理由なく棄権すると罰金が科せられるということもはじめて知った。未来を担う若い人たちが自分で判断できる政治リテラシーを持ってもらいたい。2020/07/24
coolflat
15
72頁。憲法は財政権の内容的限界を定めつつ(9条、89条)、国会による財政コントロールの手続きを定めている。議会の始まりは財政統制にあった。このことは統治の仕組みを考える上で大切な点である。国家がどのようにお金を集め、そのお金をどのように使うかは、国家の性格を如実に表現するものだ。誰を大事にしているのか、国家の行く末をどのように見定めているのか、予算の内訳から知ることができるからである。国家財政を国民代表のコントロールに置くことは、民主主義国家の欠くことのできない要素である。2022/11/01
崩紫サロメ
15
大学を「卒業」する憲法学者が、若い世代に贈る「議会制民主主義」=「みんなで決める政治」のあり方の入門書。近代国家の形成の中で議会制と民主制が対立していた時代から、議会制民主主義の成立へ。アメリカからの「恩賜的議会制民主主義」として成立した日本帝国憲法。これを中江兆民的に言えば「下からの恢復的民権」のように自分たち自身の問題として捉えていくことが必要であると説く。ジュニア向けであるが、すべての主権者が知っておくべき内容。2020/07/28
のら
5
良書。近代議会制の歴史から始まり、日本の国会や選挙の仕組みなどを概観。著者は憲法学者ということで、憲法を中心に据えた基本的な視点から議会制度や昨今の国政状況等よくまとまっている。参考文献も充実しており、入門書としてどうぞ。2023/03/01
とりもり
2
議会制民主主義の歴史がちょっと冗長だが、後半になるに連れて面白かった。ドント方式の詳細を初めて知った。国会の質問は原則書面で、緊急を要する場合のみ議院の議決を経て本会議で質問できるが、与党が賛成しないため活用されていない。その代替として予算委員会等での質疑が活用されているが、与野党の時間配分を議席数に応じて配分することを与党が提案したというのも知らなかった(自らが下野していた際に与党2割、野党8割で合意したにも関わらず)。「募る」と「募集」は意味が違うと言い張った元首相のご冥福をお祈りします。★★★☆☆2022/09/04