出版社内容情報
漱石の書き残した手紙は,小説とは違った感慨を読む者に与える.綴られる励まし,ユーモアは,今を生きる人にもエールとなるだろう.手紙を通して文豪・漱石の新たな横顔が見えてくる.
内容説明
漱石の書き残した若い人への手紙は、小説とは違った感慨を読む者に与える。「あせってはいけません」「牛のように図々しく進んでいくのが大事」等々、綴られる励まし、ユーモア、人としての深さは、今を生きる人にとっても、温かなエールとなるであろう。示唆に富む手紙から、文豪・漱石の新たな横顔が見えてくる。
目次
序章 吾輩は手紙好き人間である
1章 孤独と向き合う―顧りみるもの一人も無
2章 人生の決断に迷ったとき―死ぬまで進歩するつもりでやればいい
3章 決めた道で困難に出会ったとき―自分は自分流にするのが義務
4章 戦うよりも許すこと―それが人間の修養
終章 吾輩は自己の天分を尽くすのである
著者等紹介
小山慶太[コヤマケイタ]
1948年、神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部卒業、理学博士。現在、早稲田大学社会科学総合学術院教授。専攻は科学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホシ
14
またまた漱石関連本。本書も文豪の新たな一面が知れる良書。漱石が残した膨大な手紙から漱石の人となりや教訓を読み解いていく。著者が理工系の人物なのが意外。英国時代は「頻りに御前(鏡子夫人)が恋しい」とか書いておきながら、帰国するや「妻君と下女の頭を正宗の名刀でスパリ斬ってやり度い」とは、病気を考慮しても漱石のツンデレここに極まれりだね!門下生に対する面倒見の良さや、一般の読者にも懇切丁寧である点、教師としての責任感の強さには敬服。人間臭い漱石を味わえる一冊だった。いつか書簡集をじっくり読んでみたい。2017/10/24
3月うさぎ
2
漱石は、癇癪持ちで気難しい人というイメージだったが、実に優しく面倒見のいい人だったのだなということが、数々の手紙の文面から読み取れた。特に「そんなら死なずに生きて居らっしゃい」と「戦うよりもゆるす」という言葉は印象的だった。子ども向けだと思い、普段は手にすることない「岩波ジュニア新書」であったが、内容は大人が読んでも充分に面白く、わかりやすい。ほかにも面白そうな本が色々と出ているようなので、これからはチェックしていきたい。2020/11/18
Sugaya Masaki
2
意地っ張りだけど、誠実で誰にでも優しい漱石の姿が書簡から浮かび上がる。門人への手紙なんかは愛情たっぷりだなぁと感じた。2020/08/01
bassai718
2
芥川龍之介への有名な手紙については知っていたが、無名の読者についてまでこれ程丁寧なやり取りをしていたことに驚いた。時に意地っ張りに見える性格も含め、人間漱石について理解が深まった。2019/12/25
アカヘコメゾーチ72
1
それと戦うよりもそれをゆるす事が人間として立派なものならば 漱石先生の手紙に教えてもらいました。2025/05/26
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- 和書
- ラ・スパ 〈2003〉