内容説明
自分を信じきれず、個性や“らしさ”を探しながらも一方で人と違わないことにこころを砕く若者たち。大人になる直前のとまどいや悩みは尽きず、未来に希望を思い描くのも難しい。そんな10代に魂を揺さぶる数々の物語を通して悩むこと、傷つくことを怖れず、もっと伸びやかに自由に生きよう!と呼びかける青春の羅針盤となる一冊。
目次
「かわいい」を疑ってみない?
怒れ!怒れ!怒れ!
ひとりでいるっていけないこと?
自信ってなんだろう?
明るすぎる渋谷の街で考えたこと
ルールとモラルがぶつかったら
質問するってめんどくさい?
心の明け渡しをしていませんか?
生意気っていけないこと?
家族ってなんだろう?
世界は広く、そして人はなんてゆたかなのだろう
働かないでいるって、そんなにダメなこと?
斜に構えるってかっこいい?
著者等紹介
清水真砂子[シミズマサコ]
1941年、朝鮮半島に生まれる。児童文学者・翻訳家。青山学院女子短期大学名誉教授。主な著作に、『子どもの本のまなざし』(日本児童文学者協会賞受賞)、訳書にU・K・ル=グウィン『ゲド戦記』全6巻(日本翻訳文化賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
70
今日、公園で駄々っ子を見掛けた。以前までなら親御さんに同情を寄せ、他人ながら子供の行く末を案じる私であった。しかしこの本を読了した今は、捉え方が若干変わっていた。これこそ言いたい事が言えない日本人=大人に足りない感情の爆発なのではないかと。社会が良しとする協調性は、根が詰まった植木鉢の窮屈さに似ている。孤独は忌避すべきものではない、孤立と紙一重で成り立っている。ジュニア向けにしておくには勿体無い良書。己が描く社会の枠組みを解体し、再構築のきっかけを投げ掛けてくれるはずだ。2015/07/07
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
25
【15/11/09】強烈な反語を込めたタイトル。帯の「心温まる」なんて信じて読むと火傷する。悩みや怒り、苦しみ、矛盾、孤独を抱え込みながら生きていけと挑発している。これらを手放すことが「大人になる」ってことなら、それっておもしろいの?というのがメッセージなんだと読みました。2015/11/09
ぴょこたん
23
70を越えた短大教授の若者へのメッセージ。思想に自信が満ち溢れすぎていて、ほとんどの部分で斜に構えながら読むことになる。もう少し若いころの著者自身の失敗や、自分の思想への懐疑を書いてくれたら印象は変わったんだろうが、その話は最終章だったので遅きに失した感。これでは若者は前半で読むのやめちゃうんじゃないかな? でも、勿論、眼を見張るような考えもあるし、岩瀬成子さんが取り上げられているのも嬉しいし、「世界の果ての通学路」は見たくなった。2015/08/26
ユウキ
19
直近3か月に読んだ本でNo1。読みながら金子光晴の「おっとせい」という詩を思い出した。清水さんは間違いなく「むかうむきになつてるおつとせい」。若い世代や社会に対する視線は強烈に鋭い。「かわいいおばあちゃん」なるものを拒否し、怒りや孤独、沈黙や悩みと言ったネガティブに取られがちなこころの有り様を強く肯定する。その一方で同調やいらぬ我慢を排斥する。そして社会が暗黙に要請したり排除しようとする感情や人物像を鮮やか腑分けした上で、そんな社会を一刀両断にする。めちゃめちゃロックな70代だ。かっこよすぎるよ、清水さん2018/03/25
活字スキー
19
帯には「10代の人へ送る心温まるメッセージ」とあるが、そう優しいものでもない。清水さんのしなやかな強さと瑞々しい感性が、大人になりきれていない大人からそもそも大人になるとはどういう事か見当もつかない子供まで、幅広い人に様々な示唆を与えてくれる。……が、大人力が高過ぎるあまり、いわゆる「意識高い系」として引いてしまう若者も結構いそう。一人でいる事、怖れる事、悩む事、傷付く事。深い陰影なくして、人としての価値や魅力が生まれるだろうか。2015/08/27