内容説明
小倉遊亀、三岸節子、いわさきちひろ、メアリ・カサット、マリー・ローランサン、フリーダ・カーロら画家として生きる道を選んだ女性たち10人の軌跡を描く。社会の無理解や軋轢を乗り越えながら、自らの表現を獲得すべく真摯に生きる姿は激しくも、美しい。残された作品とともに、その生き方にも魅了されることだろう。巻末には美術館案内を付す。
目次
1 いのち燃ゆ―三岸節子
2 凛として晴れ晴れと―小倉遊亀
3 アイデンティティへの道のり―フリーダ・カーロ
4 心の奥への階段―レメディオス・バロ
5 大いなる命へ―ニキ・ド・サンファル
6 心の声を聴く―ケーテ・コルヴィッツ
7 鬼と遊ぶ―桂ゆき
8 心の底の大切なもの―いわさきちひろ
9 パステルカラーの憂愁―マリー・ローランサン
10 歩み続ける開拓者―メアリ・カサット
著者等紹介
堀尾真紀子[ホリオマキコ]
東京芸術大学美術学部卒業、同大学院修士課程修了。フランス国立美術工芸大学留学。NHK「日曜美術館」第3代司会者。現在、文化学園大学教授・造形学部長。著書に『画家たちの原風景―日曜美術館から』(NHKブックス、第35回日本エッセイストクラブ賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キムチ
42
題に惹かれて選んだけど、ジュニア選書。だけに、語り口の瑞々しさに気持ち洗われる想い。既知は六人、又素晴らしい画家を知り得た。芸術家といやぁ、ダダイストじゃないけど社会人としては…と言われることが多い。此処に挙げられた女性は尊厳を抱き、祖国・人間・社会等に溢れんばかりの愛をたぎらせた女性ばかり。自らの運命に流されることなく毅然と立ち向かっていった…だから、ジュニア向け伝記だろうね。絵が殆ど無いのはお寒いけど、堀尾節の熱は伝わってきた♪島国で自分を内省することに唯々諾々とせずに、培う耐える力を強くして…と。2016/04/07
きりこ
33
三岸節子・小倉遊亀・マリー・ローランサン、メアリ・カサット、レオディオス・バロ…など10人の女性画家の生涯をそれぞれの自画像を通して辿る美術エッセイ。挑むような真っ直ぐな眼差しであったり哀しみに満ちた表情であったり、「貴方は何を伝えたかったの?」と問いかけてみたくなるようなインパクトのある自画像。画家の創作への原動力になったものは何かを探っていく。 2013/09/05
Nobuko Hashimoto
21
国家のため、あるいは家父長制のもとに、個人が犠牲になり女性が虐げられた時代。そんななかでも、本書で紹介される女性画家らは、自分らしくありたいと、悩み、もがきながら描き続けた。自分のうちに突き上げる欲求を花開かせたその葛藤が、彼女たちの作品に輝きをもたらしていると著者は言う。関西ウーマンの書評で取り上げました。https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=2021252022/10/01
退院した雨巫女。
12
《私-図書館》【再読】←2020年3月4日。 10人の女性画家の生きざまが、あまりにも壮絶で、強い女性たちでした。彼女たちの作品を観てみたくなりました。2014/01/28
圓子
10
どうしても「時代との闘い」という視点が入り込む時点で、彼女たちの評価は一定の枠の中に入ってしまうんじゃないか。そして、闘いのひとつの側面でもあろうけど、ほぼみんな裕福な家の娘ですね。「描くことが生きること」もちろんそうでしょう。でも、彼女たちは描くことを選べたほうの人間でもあったわけなのね。(決して、その生き方や作品を批判するものではありませんよ。)2013/10/14