出版社内容情報
心はいつ生まれ,どのように育つのでしょうか.サルやチンパンジーとヒトの赤ちゃんの発達をくらべると,ヒトらしい心が成り立ってきた道すじがみえてきます.相手の気持ちをくみとったり,「おせっかい」に関わろうとするのはヒトだけです.それはなぜか.赤ちゃんがみせる「まね」と「共感」をキーワードに,その謎にせまります.
内容説明
心はいつ生まれ、どのように育つのでしょうか。サルやチンパンジーとヒトの赤ちゃんの発達をくらべると、ヒトらしい心が成り立ってきた道すじがみえてきます。赤ちゃんがみせる「まね」と「共感」をキーワードに、ヒトらしい心の誕生の謎にせまります。
目次
第1章 心が生まれる道すじ
第2章 共鳴する心
第3章 誕生前の心
第4章 他者と重ねる心
第5章 他者と向き合う心
第6章 みなで育てる心
著者等紹介
明和政子[ミョウワマサコ]
1970年生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士課程修了。教育学博士。京都大学霊長類研究所研究員、同大学大学院文学研究科研究員、滋賀県立大学人間文化学部専任講師などを経て、京都大学大学院教育学研究科准教授・JST ERATO岡ノ谷情動情報プロジェクトグループリーダー、専門は、比較認知発達科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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umeko
13
赤ちゃんって凄い。とにかく驚嘆した。私も遥か昔は赤ちゃんだったことを考えると、「はじめに」でも書かれていたが、次世代に果たすべき責任の重さを痛感した。興味深い内容で、面白かった。2015/04/24
乱読家 護る会支持!
3
(1) 胎児期から新生児期にかけて、ヒトの身体や行動、心のはたらき、知覚、認知機能は連続的に発達する。 (2) 生後一年半にわたるヒトの心のはたらきの発達過程をみると、二度の飛躍期がみられる。生後二カ月目と九カ月目である。とくに生後九カ月目には、チンパンジーとは異なるヒトの心のはたらきが顕著に発達してくる。 (3) ヒトらしい心を発達させるのは、他者からの積極的なかかわりを特徴とするヒト特有の謎育環境である。 (4) ヒトらしい心を育む環境は、ヒト特有の心のはたらきによって成立している。2020/04/23
茶幸才斎
3
胎児期から新生児期、その後の生長過程におけるヒトの心の起源と発達について、他の霊長類と比較し進化論的考察を行う比較認知発達科学の成果を紹介した本。ヒト特有の他者の身体動作を模倣する能力は、他者の心を理解する基礎ともなり、更に言語の獲得にも関与すると主張する。私の息子は生後18ヶ月頃から、幾つかの物について勝手な呼び名を自分で付けて呼んでいた。模倣に頼らず新たな言語体系を一から発明できそうな勢いだ。模倣の力は言語の獲得時ではなく、発明された言語体系が成員の相互承認を経て集団内で定着する際に必要なのだと思う。2014/09/11
名秀子
0
ヒトは、胎児から赤ちゃんとして誕生するまで連続して、人間として生きていく能力を学習している。とても賢いのだ。その後の成長には、養育者の声かけや見つめ合いが欠かせない。赤ちゃんは、養育者からの感情情報を確実に受け取り、心を発達させている。養育者が赤ちゃんに向けている表情は、赤ちゃんの成長にはとても大切な要素なのだ。赤ちゃんの表情を見れば、大人の頬は自然に緩むようになっている。赤ちゃんを見たら、大いに微笑みかけよう。心の発達の助けになるから。 2015/05/05
azuazu1011
0
「教えるー教えられる」関係が2歳未満からすでにあるということのスゴさ!他者との関係性。模倣。他者理解。社会的コミュニケーションが言語獲得に及ぼす影響。利他性。共感力。信頼力。オキシトシンとプロラクチンの効果(母親も父親も!)。赤ちゃんの能力のすごさ(胎児の時から!)、生後2ヶ月、9ヶ月の発達の伸び。チンパンジーなど他の動物との比較もあるが、結局は、社会の中での関わりなのだと痛感する。2014/03/10