岩波ジュニア新書
私は「蟻の兵隊」だった - 中国に残された日本兵

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  • サイズ 新書判/ページ数 183p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784005005376
  • NDC分類 K916
  • Cコード C0295

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モリータ

11
◆2006年刊。池谷薫『蟻の兵隊』(新潮文庫)を読んでみないと何とも言えないところもあるが。◆北支派遣第一軍隷下の独混第三旅団所属の奥村は、国民党(閻錫山)軍の意向を受けた軍上層部の命により、選抜された2600名とともに終戦後4年余も山西省に留まり、共産党軍との戦いを続ける。共産党軍の包囲の中での戦闘で重傷を負い、捕虜となって収容。共産主義教育・重労働を経て1954年に帰国するも、「中共帰り」と目されて故郷には居づらく、東京で日中貿易関連の仕事に就く(そこでもう一人の著者・日中友好協会の坂井と知り合う)。2021/05/21

みなみ

3
中国に残された日本の残留兵の本。戦争が終わったのにまだ戦っているのはこちらから見ると信じられないくらいだ。そして日本政府はこの問題でもダンマリ、無責任を決め込んでいる。悪質としか言いようがない。で、これも「年金が欲しいわけではないが訴訟の方向としてはそれしかない」なのだが、こういう裁判を起こす人に必ず「金目当て」と中傷して足を引っ張る連中が居る。どうしようもないほど醜悪だ。意識が日本軍に戻ってしまったというエピソードが重い。2017/12/09

はんぺん

3
読みやすかった。戦争体験の話は一人ひとり同じようで小さくとも重大なちがいがあると思う。奥村さんが数十年を経て一瞬「日本兵」に戻ってしまったことが恐ろしかった。2017/01/18

林芳

2
戦争に関連した本を読むと、この事実を知らなかった、この出来事を知らなかったの連続になる。この本の内容も同じ。戦争が終わってから軍の命令で兵隊として任務につき、死んでいった人たち。生き残って苦労した人たち。その一人奥村氏の生き残ってからの人生を知ると、生き残ったことの意味が分かる。戦争に関わった自分の内面に対し深く率直に真摯に向き合っている。それを私たちは受け取らなくてはいけない。2025/05/17

kamakura

2
敗戦後も中国内戦の軍閥側で戦わされた日本軍将兵。解放軍にも国民党軍にも元日本軍兵士がいたのは知っていたが、日本軍の編成のまま参戦させられた部隊があったとは。それが文書上では証拠を残さず、あくまで除隊後、自由意志で戦ったことにさせられた。それを命令した軍司令官・日本政府がごまかしたのは、内戦には不介入だったという事にしたかったのだろう。そんな見え透いた事が1990年代の裁判でも覆らないあたり、日本は棄民国家だとつくづく思う。奥村氏の、自分に巣くう軍国主義を恐れ葛藤する姿と比べて暗澹たる気持ちになる。2021/05/04

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