出版社内容情報
何万年もの間,わたしたちの祖先と同じ地域・環境で同じ石器文化をもって生活していたネアンデルタール人類.彼らだけが,約3万年前に地球上から姿を消したのはなぜか.最新の研究成果から彼らの実像に迫る.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tomomi Yazaki
14
本書は、著者がネアンデルタール人に興味を持つに至った経緯を含む回想録と、人類学の歴史とその成り立ちの話から始まった。現代人とネアンデルタール人の違いはさほどなく、現代人の人種の違いの方が大きいと思っていたけど、骨格に関する相違の説明では両者は全く異なるとのこと。でもこの本、20年も前に発行されたものです。日々進歩している人類学。情報としては古いけど、氏の情熱に裏打ちされた学ぶ基本は変わらないはず。好きなものに興味を持ち、その探求心からもたらされる浪漫。そんな方の語りを読むのは、いつもながら楽しいものです。2020/07/06
takao
2
ネアンデルタール人の専門家(実際にフランスで研究)による解説。図版類が多く、よくわかる。この本は薦められる。2019/06/15
きゃりーねくねく
2
最近の形態人類学における研究の結果と現状がまとまっている.人類は猿人→原人→旧人→新人という直線的な進化の過程を経たわけではなく,常に複数の種が同じ時代に共存しており,特に,新人(ホモ・サピエンス)と旧人(ネアンデルタール人)は何万年にもわたって同じ地域で同じ石器文化をもって生活していたというのが驚き.出土人骨から推測されるネアンデルタール人の生活の様子,どういう心をもっていたのか,言葉は話せたのか,などについて,提出されている学説を筆者なりに冷静に分析・検討している.2014/02/07
pepe
1
ネアンデルタール人の骨格から生活まで網羅的に解説。ホモサピエンスとの違いが際立つ。20万年以降古い形質を固定化してしまい(自然選択の結果?)、環境に適応できなくなったという絶滅要因仮説は面白い。2021/06/25
Shinjuro Ogino
1
面白かった。旧人のネアンデルタール人は、芸術は無いが初めての埋葬を行った。しゃべる機能を持っていた、障害者を介護していた可能性がある。ちなみに、500万年前に類人猿から分れた人類は、猿人→原人→旧人→新人と発展してきた(単純な進化ではない)。 旧人として、1万年前ぐらいまで新人(ホモサピエンス)と共存していたが、絶滅してしまった。 絶滅した理由として、著者は、人類として装備過剰になったのではないかという。現代人類の行く末を占うこととして興味深い。2019/04/10