出版社内容情報
「人生は旅だ」「筆をとる」「負けるが勝ち」「一日千秋の思い」.魅力的な言葉や巧みな文章表現で,読む者に強い印象を与えるレトリック.夏目漱石・井上ひさしなどの小説や随筆・詩を例に,多様な表現方法を味わう.
内容説明
「人生は旅だ」「筆をとる」「負けるが勝ち」「一日千秋の思い」…。ちょっとした言い回しやたくみな文章表現で、読む者に強い印象を与えるレトリック。そのなかから隠喩や換喩、パロディーなど30を取り上げる。清少納言、夏目漱石から井上ひさし、宮部みゆきまで、さまざまな小説や随筆、詩を味わいながら、日本語の豊かな文章表現を学ぶ。
目次
レトリックへの誘い
意味のレトリック(意味を転換する;意味を調節する;意味を迂回する)
形のレトリック(形を加減する;形を工夫する)
構成のレトリック(仕掛けで語る;引用で語る)
レトリックを文章に生かす
著者等紹介
瀬戸賢一[セトケンイチ]
1951年、京都市生まれ。大阪市立大学大学院後期博士課程修了。博士(文学)。現在、大阪市立大学大学院文学研究科教授。専門は英語学・レトリック
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみぶくろ
60
引用が多くて読みやすい教科書本。ふだん本を読んでるときにはいちいち意識に顕在化しない(でも知らず知らずに読書に奥行きを与えている)レトリックの技をひとつひとつ名前付きで解説してくれる。レトリックは総じて人間の「伝えたい」という意思から生まれ派生してきたものだと考えると、単なる文章技法以上の、もっとコミュニケーションの本質に根差したものと言えるかもしれない。小説読んでて「ここは隠喩、ここは含意法」みたいに考えてしまうのも味気ないから程々にしたいけれども。2015/03/07
みつ
37
岩波ジュニア新書の一冊。第16刷に達しているというから、息長く読まれていることがわかる。平易な言葉で書かれているが、内容は本格的。「レトリックとは、あらゆる話題に対して魅力的なことばで人を説得する技術体系である。」(p7)と定義し、「発想・配置。修辞(文体)・記憶・発表」の5部門がある(p9)と分類したうえで。この本で取り上げるのは修辞であるとし、30種のレトリックを主に具体的な文芸作品を引用して述べていく。「レトリックの技法と考えられるものは、すべて日常言語の中に観察される」(p100)と記す通り➡️2024/03/07
まさむ♪ね
30
レトリックとはなんぞや!の状態から読み始め。隠喩、直喩、換喩、同語反復法、声喩(それぞれ別名、メタファー、シミリー、メトニミー、トートロジー、オノマトペ。お、なんか一気にオシャレだゾ)などの文章表現技法を一つひとつ解説。さすがの岩波ジュニア新書、懇切丁寧わかりやすい。夏目漱石、中島敦、宮部みゆき、井上ひさし、筒井康隆など、匠たちの芸術的文章にウットリしながらも、迷わずレトリックの山頂に辿り着く。文章に接するときの楽しみが増。お、これはあの技法使ってるな、とかね。巻末の「レトリック30早見表」も嬉しい配慮。2014/02/11
かんらんしゃ🎡
23
「レトリック」上手くなりたいなあ。そうすれば文章に内容がなくてもごまかせるし、と不埒な動機で読んだ。そう私の場合、レトリックは中身のなさを隠すためにある。つまり貯金をはたいて買ったブランド財布のようなものだ。外面いいけど入れる中身がない。(ああ、こんなんでは駄目だ)上手くなりたい。2016/01/19
ヴェルナーの日記
23
広義の意味における「レトリック」は2つに大別することができる。前者は裁判や討論などにおける弁証術や弁論術といったディベートと、後者は文章をよりわかり易く修飾するための修辞学(狭義におけるレトリック)である。本作は後者に当たる修辞学を取り扱っている。修飾法の中で30種を取り上げ(人や国によっては数百種類もあるといわれているが、言語の違いによって明確に分けることができない)、実際の作品の中から文例を挙げて解説していて、且つ平易な文章なので、初心者にとっても難しく感じない内容となっており、必読の書と言ってよい。2013/08/20