出版社内容情報
観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生-現代短歌には,さまざまな感情と思想が自由に歌われています.同時代人の短歌の面白さ,多様性を読みときながら,思わず余白に自作を書きつけたくなる楽しい短歌入門です.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
134
歌人の栗木京子さんによる短歌のすすめ。彼女自身の代表歌は、やはり「観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生」。本書は短歌鑑賞のためにも大いに有効だが、筆者の想いはむしろ読者を「作歌」に誘うことにあるようだ。こんなシーンに着目してみたら、あるいはこんな題材だって短歌になるのだからと手を変え品を変えてのお誘い。終章には、筆者が担当する岐阜女子大学での現代短歌講座の受講生たちの短歌も掲載されていて、ここでもハードルの低さをうったえる。そして、最後は加藤治郎らのパソコン短歌でしめくくり、これでもか、と。2014/05/12
kinkin
77
雑誌や新聞にせっせと短歌を投稿していた父を思いだした。入選して掲載された新聞や雑誌の切り抜きがあったなあ。短歌というととっつきにくいという印象を持っていたがこの本に紹介されている歌には様々な詠み方や表現があってタイトルどおり楽しく読むことができた。いざ短歌を詠むとなるとどこに題材を求めるかということが大切なのだろう。その題材は世の中を見渡すだけでなく自分の内面、外面いくらでもあるようだ。31文字でつくるちいさな映画のようなもの、それが短歌なのかな。図書館本 2019/03/01
てくてく
8
花鳥風月を脱し日常生活を率直に歌おうとした、口語や会話を取り入れた、そういった短歌の挑戦の歴史や、作歌上の技法、歌の素材などをそれぞれ代表的な歌を紹介することを通じてわかりやすく説明している。2018/02/03
太田青磁
7
《円形の和紙に貼りつく赤きひれ掬われてのち金魚は濡れる》水から出ると一転して金魚は水の存在感を身にまとい始めます《冷水に八つの角の冴えざえと豆腐がありぬ朝の厨に》事実をきちんと踏まえてうたうことはもちろん大切ですが、その上でさらにもう一歩対象に詰め寄って真実とじかに向き合おうと努める《みづからの光のごとき明るさをささげて咲けりくれなゐの薔薇》凛とした薔薇の美しさを、直喩が端的に言い当てています《観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生》対句がリズミカルに響き合うように、という点だけは工夫を凝らしました2015/02/07
shou
5
「観覧車回れよ回れ想ひ出は~」の歌が好きなので。短歌入門書。読みやすく、掲載作も分かりやすかったり、他にどんな手があるかなと挑戦したくなってくる作品が多く、楽しく作歌に誘われる。2014/05/25