出版社内容情報
ことばには,人の心に橋を架けたり,怒りや悲しみを和らげたり,ときには人をつき動かすほどの力があります.この本では,詩人である著者が,挨拶,驚き,怒り,喜び,悲しみ,愛,ユーモアの見事な言いまわしを探る中から,ひとの気持ちをとらえ自分の思いや考えを伝える方法を語ります.豊かなことばの世界へ導く一冊.
内容説明
ことばには、人びとの心を愉快にしたり、怒りや悲しみを和らげたり、ときには人を突き動かすほどの力があります。詩人である著者が、挨拶など日々なにげなく交わしていることばを見直し、言い回しを探るなかから、人の気持ちを受けとめ、自分の思いや考えを伝えるにはどうしたらよいかを語ります。豊かなことばの世界へ導く一冊。
目次
あいさつのことば
おどろいたとき
悪口の息づかい
ユーモアのアンテナ
うれしいときと悲しいとき
愛のことば
電話でしゃべるとき
方言による表現
自分の考えを伝えるとき
著者等紹介
川崎洋[カワサキヒロシ]
1930‐2004年。1949年、西南学院専門学校英文科中退。中学生のころから詩作をはじめ、1953年、茨木のり子氏と二人で同人誌『櫂』を創刊。さまざまな職業を経て1961年より文筆生活に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
321
詩人の川崎洋氏が青少年向けに書き下ろしたもの。9つの章からなるが、そのいずれからも詩人らしい語り口が伝わる。人や社会への観察眼もこれまた詩人らしい暖かさに満ちている。引用されている詩もわかりやすいものが選ばれているが、説得力に富むものばかり。中でも最も光るのは、「愛のことば」と「方言による表現」だろう。まさに人生を肯定したくなるような詩ばかりだ。一方、悲しみの表現では、著者の二女の手紙と詩人自身の詩が心に響く。こちらは、また別の意味で人生を肯定したくなる。著者の暖かさが全ページから伝わってくる本だった。 2018/01/17
わっぱっぱ
36
「大切なのは心ではなく言葉だ」皮膚科の待合室に掛けられたカレンダーの格言に首を傾げたのはいつだったか。ずっと、心の方が大切だと思ってきた。今なら少しわかる。心が大切だからこそこ言葉の力が重要なんだってこと。言葉は心の住みかなんだね。はっとしたのは「悪口」の章。小説などに出てくる悪口の多彩なこと!胸のすく悪口って知性があって憧れるなぁ。今って、相手の感じ方が最大限尊重されるから迂闊に悪口が言えない流れになってるけど、KYも過ぎると委縮した関係しか築けなくなる。ことばを受け止める力をつけることも必要と思う。2018/03/07
シュシュ
29
川崎洋さんの言葉に触れたくて再読。川崎さんの二女の友だちで両親を亡くした17才の女の子に向けた詩の一部「今のMさんの気持をいっぱいにしている/まっ黒で重くて どうしようもないもの/それは/つらさとか苦しみとか そんな言葉で/かんたんに表現できるものではないでしょう/これが夢だったら/とMさんは何度も思われたことでしょう/でも/一日を我慢して 二日目を我慢してください/それが三日になり一か月になり/やがて一年になります/そして五年がたちます/そのとき/きっと今とはちがいます/ですから/今を我慢してください」2018/01/17
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
17
感じたことを言葉にしている詩人が、考えを伝えることの大切さを語っています。識字学級で歳をとっから字を覚えた女性、夕焼けが美しいということが字を覚えてから初めてわかったというくだり、これこそが言葉の力。美しいという言葉を知らない人には美しいという概念がない、というのは本当ですね。2022/01/20
シュシュ
17
茨木のり子展に行き、川崎さんと茨木さんが親しかったのを知って、川崎さんの本を読んでみた。ユーモアがあって、しかも、大事なことがちゃんと書いてあった。引用している詩がよかった。ジャック・プレヴェールまであったのには嬉しくなってしまった。最後の章が谷川俊太郎さんの?な詩で終わるところがなんだかお茶目だった。2014/07/03
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